超高温地熱環境でのハイドロフラクチャリング実験で 透水性き裂ネットワークの形成を発見

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地熱エネルギー・フロンティアへのアクセス技術として期待

2019-02-04 京都大学
陳友晴 エネルギー科学研究科助教、渡邉則昭 東北大学准教授、坂口清敏 同准教授、駒井武 同教授、土屋範芳 同教授、後藤遼太 同修士課程学生、三浦崇宏 同修士課程学生、山根宏太 同学部生(研究当時)、石橋琢也 国立研究開発法人産業技術総合研究所研究員らの研究グループは、発電に利用可能な超臨界水や過熱蒸気の生産が期待される400℃以上の地下環境(超高温地熱環境)における地熱貯留層(透水性き裂ネットワーク)造成の可能性を検討するため、(株)東栄科学産業と共同で開発した特殊な実験システムを用いて、花崗岩のハイドロフラクチャリング(水圧による岩石破砕)実験を実施しました。

本研究の結果、岩石内に、地熱貯留層としての利用が期待できる、高密度に分布した微小き裂からなる透水性き裂ネットワークの形成を発見しました。この現象は、超高温地殻中に広く密に水の流路を形成することから、超臨界水や過熱蒸気の生産を増進するための技術への応用が期待されます。

本研究成果は、2019年1月30日に、国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。

図:450℃でのハイドロフラクチャリング実験後の花崗岩サンプル内に形成された高密度に分布する微小き裂からなる透水性き裂ネットワーク。

書誌情報

【DOI】https://doi.org/10.1038/s41598-018-37634-z

【KURENAIアクセスURL】http://hdl.handle.net/2433/236175

Noriaki Watanabe, Kiyotoshi Sakaguchi, Ryota Goto, Takahiro Miura, Kota Yamane, Takuya Ishibashi, Youqing Chen, Takeshi Komai & Noriyoshi Tsuchiya (2019). Cloud-fracture networks as a means of accessing superhot geothermal energy. Scientific Reports, 9:939.

詳しい研究内容について

超高温地熱環境でのハイドロフラクチャリング実験で 透水性き裂ネットワークの形成を発見
-地熱エネルギー・フロンティアへのアクセス技術として期待-


【概要】

京都大学大学院エネルギー科学研究科の陳友晴助教は、東北大学大学院環境 科学研究科の渡邉則昭准教授、坂口清敏准教授、駒井武教授、土屋範芳教授、 修士課程学生の後藤遼太氏、三浦崇宏氏、元東北大学工学部生の山根宏太氏お よび国立研究開発法人産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所の 石橋琢也研究員とともに、発電に利用可能な超臨界水や過熱蒸気の生産が期待さ れる 400℃以上の地下環境(超高温地熱環境)における地熱貯留層(透水性き裂ネ ットワーク)造成の可能性を検討するため、(株)東栄科学産業と共同で開発した特 殊な実験システムを用いて花崗岩のハイドロフラクチャリング(水圧による岩石破砕) 実験を実施しました。その結果、岩石内に、地熱貯留層としての利用が期待できる 高密度に分布した微小き裂からなる透水性き裂ネットワークの形成を発見しました。 この現象は、超高温地殻中に広く密に水の流路を形成することから、超臨界水や過 熱蒸気の生産を増進するための技術への応用が期待されます。
本成果は、2019 年 1 月 30 日に国際学術誌「Scientific Reports」にオンライン 掲載されました。【詳細な説明】
近年、単位質量あたりのエネルギーが大きな超臨界水や過熱蒸気の生産が期待 できる深度約 2 km 以上、温度約 400℃以上の地下環境(超高温地熱環境)が地 熱エネルギーのフロンティアとして注目を集めています。このような地下環境でも、 水を貯え、水の流路となる透水性き裂ネットワーク(地熱貯留層)が自然に形成され うることから、地熱貯留層を発見し、そこへ井戸を掘削して超臨界水や過熱蒸気を 生産し発電に利用することを目指した挑戦的研究開発が世界的に実施されていま す。
しかしながら一方で、超高温地熱環境では、在来型の地熱環境よりも、き裂の透 水性が低下しやすいかもしれないという懸念もあることから、透水性き裂ネットワーク を再形成する技術の研究開発が重要視されています。また、このような技術には、 地熱貯留層の規模を拡大し、地熱エネルギー生産を飛躍的に増大させることも期 待されています。そこで本研究では地下の岩石に掘削した井戸内で高水圧を発生 させて、岩石中にき裂を形成するハイドロフラクチャリングにより、超高温地熱環境で の透水性き裂ネットワークの形成(貯留層造成)が可能かどうかを室内実験により検 討しました。
本研究ではまず、(株)東栄科学産業と共同で、400℃以上に加熱した立方体状 の岩石に直交三方向から独立に圧力を加えて圧縮し、さらに高圧の水を流通させ ることが可能な実験システムを世界で初めて開発しました。さらに本実験システムを 用いて、花崗岩サンプルに設けた井戸を模擬するための円柱状の孔へ水を注入す ることにより、ハイドロフラクチャリング実験を実施しました(図 1)。その結果、花崗岩 サンプル内に高密度に分布する微小き裂からなる透水性き裂ネットワークが形成さ れていることを発見しました(図 2)。
このようなハイドロフラクチャリング現象は、液体の水を用いた場合には発生せず、 超臨界水や過熱蒸気を用いた場合に発生することから、温度が高いために低粘度 化した高圧の水が花崗岩の様々な箇所へ浸透し破壊を発生させることによるもの、 つまり超高温地熱環境特有の現象であると考えられます。この現象に関しては、今 後、メカニズムおよびプロセスの詳細な検討が必要ではあるものの、岩石からの効 率的な熱抽出に必要な透水性き裂ネットワークが形成される現象であることから、超 高温地熱環境での貯留層造成技術、つまり、地熱エネルギー・フロンティアへのア クセス技術としての応用展開が期待できます。
なお本研究の結果の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合 開発機構(NEDO) の委託業務の結果得られたものです。また本研究の一部は、 日本学術振興会(JSPS)科学研究費助成事業 特別推進研究(No. 25000009)、 基盤研究(B)(No. 17H03504)および挑戦的研究(萌芽)(No. 18K19039)ならび に(公財)新井科学技術振興財団の研究助成事業の支援を受けて実施されました。

【掲載論文】
タイトル:Cloud-fracture networks as a means of accessing superhot geothermal energy
著者名:Noriaki Watanabe1、 Kiyotoshi Sakaguchi1、 Ryota Goto1、 Takahiro Miura1、 Kota Yamane1、 Takuya Ishibashi2、 Youqing Chen3、 Takeshi Komai1 & Noriyoshi Tsuchiya1
著者所属:1 国立大学法人東北大学 大学院環境科学研究科、 2 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所、 3 国立大学法 人京都大学 大学院エネルギー科学研究科
掲載誌名:Scientific Reports
DOI: 10.1038/s41598-018-37634-z

【参考図】


図 1:超高温地熱環境ハイドロフラクチャリング実験システムと実験風景。本実験システ ムは、立方体状の岩石サンプル(写真 A)を格納する樹脂メルト式真三軸セルと呼ば れる特殊な高温対応耐圧容器(写真 B)と、このセルとともに使用して岩石の加熱加圧 を行う載荷装置や制御・計測装置、そして岩石に注水するための注水装置などから構 成されています(写真 C)。


図 2:450℃でのハイドロフラクチャリング実験後の花崗岩サンプル内に形成された高 密度に分布する微小き裂からなる透水性き裂ネットワーク。実験後の花崗岩サンプル の上面にある孔から水を注入すると、他の面から多数の水滴が出現し(写真 A)、サン プル内部に透水性き裂ネットワークが形成されていることがわかったため、サンプルに 紫外光照射下で青白く蛍光する樹脂を含浸させた後、サンプル内部の薄片を作成し て観察した結果(写真 B および C)、高密度に分布する微小き裂からなる透水性き裂 ネットワークの形成を確認しました(写真 C の青白い部分が透水性き裂)。

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