太陽内部の対流と磁場

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2020-03-13 国立天文台

私たちの最も近くにある恒星であり馴染み深い天体,太陽.その内部はどんな観測機を用いても見ることはできませんが,太陽表面の観測や理論的研究から,太陽の内部は複雑な流れで占められていることがわかっています.そしてこの複雑な流れが,黒点やフレアなどの太陽活動の源と考えられています.また,太陽の表面に現れる強磁場である黒点の数は11年の周期で増減することが知られていますが,その周期の仕組みは大きな謎となっています.この11年の黒点周期の謎も,太陽内部の複雑な流れを正確に理解することができれば,明らかにすることができると考えられています.太陽内部の流れや磁場を精密に計算したコンピュータ・シミュレーションを元にした映像で,太陽の中身をのぞいてみましょう.

我々に馴染み深い太陽ですが,その内部はどのようになっているのでしょうか?

太陽は,その中心部付近でおこる核融合によってエネルギーを生成しています.そのエネルギーは,太陽半径の70%のところまでは光によって太陽の外側に向かって運ばれます.

太陽半径の最後の30%では,お風呂のお湯のように温度差によって対流が起こり,この対流によってエネルギーが外側へ運ばれます.そして最終的に,太陽の表面から光としてエネルギーが宇宙空間に放出されます.今回のコンピュータ・シミュレーションではこの熱対流の状態になっている層を計算しました.

太陽の対流層全体を表した映像です.外側へ向かう流れを白く,内側へ向かう流れを赤で色付けしています.外側に向かう流れと内側に向かう流れが対をなして見える特徴的な対流構造がみえながらも,それぞれの流れの塊の中に小さくて複雑な流れが伴っていることがわかります.この映像では,1秒がおよそ4日程度に相当します.

太陽の一部を切り取って,対流層の断面をより見えやすくしました.大雑把には内側から湧き上がる温度の高い白い流れは,太陽表面に達して温度が下がり,内側に落ち込む赤い流れとなります.しかし,全体としては,非常に複雑な流れが存在していることがわかります.

太陽の赤道面で輪切りにした図です.ここからはより長い時間の進化を早送りして見てみましょう.この部分の映像では1秒が約1ヶ月に相当します.

太陽全体で見た対流の時間変化です.よく見ると,太陽の赤道付近で左から右に向かっている流れが見えます.太陽は地球と同じように自転していることが知られていますが,地球と違って場所ごとに異なる自転速度を持っています.この自転速度の違いは熱対流によって維持されており,このコンピュータ・シミュレーションでもその様子が再現されています.

ここからは,磁場の映像に変わります.太陽内部は高い温度になっているので,太陽を構成する物質は「プラズマ」という電離したガスの状態になっています.プラズマは磁場とともに動きます.この映像からは磁場が太陽内部の複雑な流れに従って動いている様子がわかります.赤く示しているのが太陽の西に向かう磁場(画面右方向),青で示しているのが東に向かう磁場(画面左方向)を表しています.

さらに時間の進み方を速めます.ここでは1秒が約8ヶ月に相当します. 熱対流や自転と磁場の相互作用により,大きな磁場が時間発展していく様子を見ることができます.大雑把に北半球が西向き磁場(画面右方向),南半球が東向きの磁場(画面左方向)を持っていますが,時間が進むとともに磁場が複雑になり,ある時点では西向きと東向きの磁場が反転する様子も見て取ることができます.

数値計算の詳細

計算目的:太陽内部の熱対流の理解と磁場生成過程の解明

計算モデル:磁気流体シミュレーション

計算に使用したグリッド数:256×384×1152×2

使用した計算機:スーパーコンピュータ「京」

現象の時間スケール:熱対流:1ヶ月,磁場進化:10年

現象の空間スケール:太陽半径:70万km

数値計算を行った人:堀田英之

参考文献

Large-scale magnetic fields at high Reynolds numbers in magnetohydrodynamic simulations

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