(Energy monitor can find electrical failures before they happen)
・ MIT が、ビル、船舶や工場に設置される全ての電子デバイスをモニタリングし、稼働中のデバイスの特定や、それらのデバイスの故障の予兆の有無を判断・通知するセンサーシステムを開発。
・ 同システムからの信号は、非侵入型モニタリングシステム(non-intrusive load monitoring: NILM)ダッシュボードと呼ばれる使いやすいグラフィックディスプレイに表示される。
・ 同センサーシステムでは、電気ワイヤ表面に貼りつけた 1 個のセンサーを使用し、ワイヤの切断や接合が不要。同センサーが隣接するワイヤの電流を検知し、各モーター、ポンプや回路の装置の特徴的な「サイン」を、デバイスのオン・オフ時の電圧や電流における微小で特有な変化を分析することで検出。
・ 同センサーシステムはまた、エネルギー利用状態のモニタリングが可能で、エネルギー効率向上の可能性や、稼働中・待機中のデバイスの場所と時間の特定もできる。
・ 同センサー技術は、小型船舶や工場等のモニタリング対象のデバイス数が限られた比較的小型の電気システムに特に適する。 同センサーシステムを沿岸警備隊のカッター型帆船の USCGC Spencer にて試験したところ、深刻な船上火災につながる恐れのある、ワイヤの焼き切れたモーターを特定。卓越した性能を実証した。
・ 同試験では、シングルダッシュボードに接続した 2 個のセンサー(ワイヤ接続型と非接触型)が約 20 個のモーターとデバイスを追跡。ワイヤで接続したセンサーが、ジャケットウォーターヒーターと呼ばれるカッター船のメインのディーゼルエンジンの構成部品が変則的な量の電力を消費していることを提示。同ヒーターを保護する金属カバーを取り外すと直ちに煙が立ち上り、深刻な腐食と破損した絶縁材が確認できた。異常を検出したセンサーはワイヤ接続型であったが、非接触型でも同様の結果が得られたと考える。
・ 同センサーシステムは、トレーニングがほぼ不要で簡単に利用できる。コンピューターダッシュボードにはモニタリング対象の各デバイス用のダイアル盤が備えられ、平常時には針がグリーンゾーンに留まり、問題発生時にはイエローまたはレッドゾーンを指す。
・ 同システムは、エネルギー利用状況の監視、デバイスの稼働状況の追跡、状態基準モニタリングの 3 役を担うことができる。また、演算と分析を全てシステム内にて実施し、インターネットへの接続が不要なため、記録の改ざんやデータ盗難の心配が無い。
・ 同研究には、MIT Energy Initiative を通じ、米国海軍研究局の『NEPTUNE』プロジェクトが資金を提供した。
URL: http://news.mit.edu/2019/energy-monitor-find-electrical-failures-0322
(関連情報)
IEEE Transactions on Industrial Informatics 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
NILM Dashboard: A Power System Monitor for Electromechanical Equipment Diagnostics
URL: https://ieeexplore.ieee.org/document/8371632/
<NEDO海外技術情報より>