超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS)の軌道保持運用について

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2019-03-18 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構

 国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、平成29年12月23日に打ち上げた超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS)(※1)の「軌道遷移フェーズ」(**1)

を終了し、4月2日から「軌道保持フェーズ」へ移行し、イオンエンジンによる軌道保持運用を開始します。

 「つばめ」は超低高度での新たな衛星利用の可能性を拓くことを目的とした衛星です。

 これまでの「軌道遷移フェーズ」では、大気抵抗及び「つばめ」に搭載したガスジェットを利用して少しずつ軌道高度を降下させました。打ち上げ以降の衛星状態は正常です。

 これから開始する「軌道保持フェーズ」ではまず271.5km、250km、240km、230km、220kmの5段階の各軌道高度においてイオンエンジンを用いて一定時間のあいだ軌道を保持します。また最終段階の軌道高度180kmでは大気抵抗が大きいため、イオンエンジンに加えガスジェットを用いて軌道高度を保持します。(軌道運用プロファイル図参照)

 「つばめ」は4月2日から5月2日にかけて完全回帰軌道(※2)である軌道高度271.5kmを保持し、超低高度軌道の特色を生かした高分解能での定点撮像実験を予定しており、東京都心部を毎日撮像する計画です。その後は、段階的に高度を下げ、今秋9月頃にかけて軌道保持運用フェーズを実施する予定です。この運用中に、超低高度域における大気データや原子状酸素のデータを取得するとともに、小型高分解能光学センサによる撮像実験を行います。

※1衛星の詳細情報。http://www.satnavi.jaxa.jp/project/slats/

以下の3種類のミッション機器を搭載している。

(1)小型高分解能光学センサ(SHIROP)

(2)光学センサ(OPS)

(3)原子状酸素モニタシステム(AMO)

    原子状酸素フルエンスセンサ(AOFS)及び材料劣化モニタ(MDM)

※2毎日同じ地点の上空を通過する軌道

別紙【「つばめ」外観】

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【運用軌道プロファイル】

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(1)小型高分解能光学センサ(SHIROP)

SHIROPは、質量19.4kg、口径20cmの小型の光学センサであり、超低高度からの観測による分解能1m以下での撮像技術の実証をします。2006年1月に打ち上げた高度692kmの陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)に搭載した光学センサ(PRISM)(口径30cm、分解能2.5m)と比べ、超低高度での観測により、口径がより小さい20cmにも関わらず、分解能1m以下のより高精細な観測を実現します。

平成31年1月2日の画像例を以下に示します。

本年4月2日から5月2日にかけて定点撮像実験では、赤坂迎賓館や新国立競技場を含む東京駅近辺から新宿御苑付近までのエリアを撮像する予定です。(大気抵抗等により軌道が変動し、撮像地点が変動する可能性があります。曇りや雨の日も撮像する予定ですが、雲により地上の撮影ができないこともあります。)

新国立競技場

新国立競技場

 

迎賓館 赤坂離宮

迎賓館 赤坂離宮

※定点撮像画像は、随時Twitterで公開予定です。「JAXAサテライトナビゲーター」@satellite_jaxa

(2)小型光学センサ(OPS)

小型光学センサ(OPS)は、質量1.9kg、口径2cmの小型軽量の広域撮像用光学センサであり、空間分解能30m級のカラー画像を取得します。

平成30年2月4日と平成31年2月10日に撮像したUAE・ドバイの画像を以下に示します。

衛星の高度低下に伴い、撮像範囲が狭まり、分解能が向上していることがわかります。

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OPS撮像画像の高度による比較

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