2019/3/25 スウェーデン王国・リンショーピング大学
一つ三役のセンサーを実現するセルロースベースの新材料
(New cellulose-based material gives three sensors in one)
・ リンショーピング大学が、圧力、温度、湿度の 3 種類のパラメーターを一度に測定するセンサーとして機能する、セルロースベースのエアロゲル材料を開発。
・ このようなマルチパラメーターを測定する機能は、在宅患者のモニタリング、ロボティクスや機能性テキスタイル等、多くのアプリケーションにて有用だが、単一回路上に複数のセンサーを統合するには種々の技術的課題があった。
・ 同新センサーは、イオンと電子の両方を伝導し、その熱電効果を活用するポリマーの弾性エアロゲル材料を開発することで実現。
・ 同新材料は、セルロースのナノファイバーとポリチオフェン系導電性ポリマー(PDOT:PSS)を水で混合し、真空中でフリーズドライした後にポリシランを添加して弾性を付与したスポンジ状のエアロゲル。同材料に電位をかけると一般的な抵抗器のように電流は直線的に増加し、圧力をかけた場合には電気抵抗が低下して電流が流れやすくなる。
・ 同材料ではまた、材料両端の冷温差が大きいほど電圧が高くなる熱電効果の活用により温度変化も測定できる。湿度の測定では、温度の高い端から低い端へのイオンの移動速度を利用。イオンの移動速度は湿度に影響を受けるため、イオンが移動しない場合では湿度がゼロとなる。
・ 温度勾配を示す電子と湿度レベルを示すイオンの熱電反応がそれぞれ異なる速度で起こるため、時間経過に対する電気信号を追跡することでそれらを区別できたことが同技術の新規点。また、3 種類の信号を個別に読み取る方法も開発した。
・ 同センサーの IoT での活用、複雑化の回避と製造コスト低減の可能性が期待できる。さらに、デリケートな製品のパッケージングでの使用も考えられる。
・ クヌート&アリス・ヴェレンベリ財団 の Tail of the Sun project、Wallenberg Wood Science Center、 Vinnova Digital Cellulose Center およびリンショーピング大学 AFM における先進的な機能性材料開発への同国政府による戦略的投資が本研究に資金を提供した。 URL: https://liu.se/en/news-item/nytt-cellulosa-baserat-material-ger-tre-sensorer-i-en
(関連情報)
Advanced Science 掲載論文(フルテキスト)
A Multiparameter Pressure–Temperature–Humidity Sensor Based on Mixed Ionic–Electronic Cellulose Aerogels
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/advs.201802128
<NEDO海外技術情報より>