2019/7/8 英国・ケンブリッジ大学
・ ケンブリッジ大学が、地元の野菜栽培農家と共同で、機械学習を使って農作物を識別し、収穫する野菜収穫ロボット用のプラットフォーム、「ベジボット(Vegebot)」を開発。収穫の速度や効率は人間より劣るが、アイスバーグレタスなど機械での収穫が難しい農作物にも使用でき、農業用ロボットの活用範囲拡充が見込まれる。
・ じゃがいもや麦などの作物は、数十年前から機械で収穫されてきたが、多くの農作物は、収穫の自動化が難しいとされてきた。英国で最も一般的に栽培されているアイスバーグレタスはその典型であり、とても傷つきやすく、地面に対して平坦に生育するため、ロボットによる収穫は難しい。現在手作業で行われているレタスの収穫が自動化できれば他の作物にも応用でき、農作業の効率化が見込める。
・ Vegebot は、まず、収穫する対象全体を視野にとらえて認識し、生育状態を見極めて収穫に適しているか否かを個別に識別した後、レタス本体を傷つけることなく根元から切りとり、市場出荷へ備える。
・ Vegebot は主に、コンピューター画像システムと切断システムで構成されている。まず、搭載された一台目のカメラがレタス畑全体を画像でとらえ、すべてのレタスを個別に識別して収穫に適したレタスを見分ける。まだ十分生育していないレタスや、病気にかかったレタスは、収穫の対象から外される。
・ 研究者たちは、開発した機械学習のアルゴリズムを用いて、様々な状態のレタスのサンプル画像を Vegebot に訓練した。実験室で健康なレタスを見分けられるようになると、畑での実践に移り、様々な気象状況下、何千個もの本物のレタスを識別できるようになった。
・ 二台目のカメラは、カッティングブレード付近に搭載され、レタスの滑らかな切断をサポートする。また、ロボットアームのグリップの圧力を調節して、収穫したレタスを落とさないけれども潰さない程度の力を保持させた。グリップの圧力調整は、他の農作物にも適用できる。
・ 今後は、農業の労働力不足の軽減や、食品廃棄物の削減等の課題への貢献を目指す。畑の収穫は通常一回のみで、その時点で成熟していない農作物は廃棄されているが、農作物収穫ロボットは、成熟した作物のみを収穫するよう訓練できるので、同じ畑で複数回の収穫が可能となり、前回収穫できなかった作物を後日収穫できる。また、研究者たちは、レタスに関するデータを大量に収集し、どの畑が最も効率的にレタスを栽培しているか、など効率性の向上にも役立たせようと試みている。人間同様のスピードで収穫できるレベルまで性能を高める必要があるが、アグリテクノリジー分野でのロボット活用の可能性が期待されている。
URL: https://www.cam.ac.uk/research/news/robot-uses-machine-learning-to-harvest-lettuce
(関連情報)
Journal of Field Robotics 掲載論文(フルテキスト) A field‐tested robotic harvesting system for iceberg lettuce
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/rob.21888
<NEDO海外技術情報より>