シンプルで「スマート」なガラスが未来の人工ヴィジョンを示す

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2019/7/8 アメリカ合衆国・ウィスコンシン大学マディソン校

シンプルで「スマート」なガラスが未来の人工ヴィジョンを示す

(Simple ‘smart’ glass reveals the future of artificial vision)

Photo: Two images show light patterns, graphically.

Fig. 2.

・ ウィスコンシン大学マディソン校が、センサー、回路や電源を使わずに画像を認識できる「スマート」なガラス片の作製技術を開発。

・ 同技術では、オプティクスを活用してカメラ、センサーや深層ニューラルネットワークを一枚の薄いガラス片に集約。不活性なオブジェクトに AI を埋め込む技術は SF のようなコンセプトだが、その進展により低電力エレクトロニクスの新分野を創生する可能性が期待できる。現在、AI では膨大な計算量と電池寿命を消費するが、一枚のガラス片で電力を不要とする顔認証が可能になるかもしれない。

・ 同技術では、効果的に配置した気泡と不純物が埋め込まれた透明な四角いガラス片が特定の方向に光を曲げることで、AI のように画像を識別する。

・ 同技術の概念実証では、ガラス片の一方の端から数字の画像が発する光が入り込み、もう一方の端に並ぶ各数字に対応した 9 個のスポットに集光すると、ガラス片は手書きの数字の 3 が 8 に変化したことをリアルタイムに検知した。

・ ガラス片のこのような働きは機械学習のトレーニングプロセスに類似するが、本研究ではデジタルコードの代わりにアナログ材料を「トレーニング」。様々なサイズと形状の気泡と共に、ガラス内の特定箇所にグラフェンのような光を吸収する材料片を配置した。光伝播による波動力が、アナログの人工ニューラルコンピューティングの新手法を提供する。

・ このような手法の利点は、コンピューティングがパッシブで材料固有であるため、画像認識するガラス片が繰り返し利用可能なこと。特定の個人のみを認識する生体認証錠として、電源やインターネットを使用することなく物体を長期間安全に保持することが可能となる。さらに、ガラス片は光波をひずませることで画像を認識するため、光の速さで作動する。

・ 事前のトレーニングプロセスにかかる時間や複雑性が課題ではあるが、ガラス片自体は安価で容易に製造できる。今後は、顔認証のようなより複雑なタスクへの同技術の応用の可能性を探る。

・ 本研究には、米国防高等研究計画局(DARPA)の Young Faculty Award のグラントが資金を提供した。

URL: https://news.wisc.edu/simple-smart-glass-reveals-the-future-of-artificial-vision/

(関連情報)

Photonics Research 掲載論文(フルテキスト) Nanophotonic media for artificial neural inference

URL: https://www.osapublishing.org/prj/fulltext.cfm?uri=prj-7-8-823&id=415059

<NEDO海外技術情報より>

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