太陽光からより多く熱を取り出す (Getting more heat out of sunlight)

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2019/7/1 アメリカ合衆国・マサチューセッツ工科大学(MIT)

太陽光からより多く熱を取り出す
(Getting more heat out of sunlight)

Abstract Image

・ MIT が、摂氏 200 度(華氏 392 度)以上の熱を必要とする一般住宅用の暖房設備や産業用の製造プロセスにも適用可能な太陽熱集熱器使用の新材料を開発。より安価で効率的な太陽熱集熱と新用途の開拓が期待されている。
・ 今回開発されたシリカエアロゲルは、太陽光透過率が高く、断熱性もある。
・ 太陽熱を効率よく集熱するポイントは、内部を熱く保ち、外部を冷やすこと。多くの集中太陽熱コレクタが使用している、ガラスの層と熱吸収性材料間を真空にする方法があるが、設備の設置や維持にかかるコストが高い。従って、暖房や食品加工他多くの産業プロセスに必要な、高温レベルの安価で変動的な太陽熱集熱システムの開発に、関心がよせられてきた。
・ エアロゲルは、シリカ粒子で構成された泡状の材料で、軽量で効率的な断熱材として長年研究されてきたが、可視光の透過率は一般的に 70%が限界。研究者たちはこの度、約 4 年を費やして、高い断熱性を維持しつつ、入射する太陽光の 95%以上を透過できるエアロゲルを開発。触媒とシリカ含有化合物の粒子を溶液に混合し、ゲルを形成、その後乾燥させて液体を全て蒸発させると、元の混合物の強度を維持した軽い基質が残る。従来よりも速く乾燥し、粒子間の孔隙がより小さなゲルが形成されるので、光の散乱がより少ない。
・ MIT キャンパス内の屋上での試験では、新しいエアロゲル層に覆われた熱吸収暗部材で構成されたパッシブデバイスは、外気氷点下のもと、220℃の高熱を保つことができた。このような高熱は、鏡を使用した集光システムでのみしか回収できなかったが、新システムは集光不要、操作もより簡単でコストが安い。高熱を要する家庭用の冷暖房システムから、より規模の大きな化学、食品生産や製造プロセスに至るまで、幅広いアプリケーションへの活用が潜在的に可能。
・ 研究者たちによると、温度上昇のための材料が大気の断熱作用と同じように働くため、エアロゲル層は「温室効果」のような基本的機能をもつという。受動的な熱回収システムは液体を含むパイプに接続し、液体を循環させて適所に熱を伝える場合がほとんどだが、その他にも、ポンプや可動部品等が不要で、遠距離からの伝熱が可能なヒートパイプに接続することもできるとのこと。
・ エアロゲルベースの太陽熱集熱システムは、既存のアプリケーションで使用されている真空ベースの集熱システムと基本的原理が同じであるため、その直接的な代替え品になり得るし、製造コスト減にもつながる。エアロゲル作製に使用する材料は全て豊富に存在し、安価。プロセスの唯一高額な部分は乾燥であり、ナノスケール構造を維持しつつ、ゲルから溶媒を抽出するための非常に精密な乾燥プロセスが可能な特殊装置、臨界点乾燥機が必要。
・ これは、ロール・ツー・ロール製造方式による連続的なプロセスではなく、バッチプロセスであるため、システムを工業生産レベルまでスケールアップすると、生産率が制限されてしまう可能性有り。本技術をスケールアップさせるポイントは、いかにして乾燥プロセスにかかるコストを抑えるかにあるとのことだが、予備的な経済分析によると、特に真空ベースのシステムと比較した場合、現状でも経済的には十分実施可能であるとのこと。
・ 本研究は、主に米エネルギー省の ARPA-E Program より資金を得た。
URL: http://news.mit.edu/2019/aerogel-passive-heat-sunlight-0702

(関連情報)
ACS Nano 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Harnessing Heat Beyond 200 ℃ from Unconcentrated Sunlight with Nonevacuated Transparent Aerogels
URL: https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsnano.9b02976

<NEDO海外技術情報より>

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