2019/5/16英国・ケンブリッジ大学
(Washable, wearable battery-like devices could be woven directly into clothes)
・ ケンブリッジ大学と中国・江南大学が、2D 材料のグラフェンと六方晶窒化ホウ素(h-BN)でファブリックをコーティングすることで、エネルギーを貯蔵・供給するキャパシタとして機能するテキスタイルの作製技術を開発。
・ 低コスト、持続可能、スケーラブルでシンプルなプロセスを用いて、ポリエステル繊維を各 2D 材料のインクで直接コーティングする。汎用的な同コーティングプロセスにより、ファブリックへの多種多様な電子部品の統合が可能となる。2D 材料インクは標準的な溶液処理方法で作製できる。
・ ウェアラブルエレクトロニクスには、プラスチックやテキスタイルに硬い電子部品を取付けたものが多く、洗濯による故障や着用時の快適さの確保が困難なことが課題。また、製造にはコストがかかり、着用には不適切な有害な溶剤を使用する。・ 2D 材料インクは安価、安全で環境に優しく、各インクでコーティングしたファブリックを重ねることで電子回路が作製できる。
・ 低沸点溶剤中のグラフェンシートをファブリックに積層し(溶剤は容易に除去できる)、複数のグラフェンシートから構成される薄く均一な導電ネットワークを作る。続いてグラフェンや h-BN でコーティングしたファブリックを重ねると、電荷を貯蔵する活性領域ができる。このファブリック電池は、折り曲げたり、一般的な洗濯機で繰り返し洗濯できる。
・ スケーラブルな同プロセスは、ウェアラブル電子デバイスの技術開発において複雑性や機能性の実現を可能にし、パーソナルヘルス、ウェアラブルなコンピューティングやファッション、エネルギーハーベスティング・貯蔵から IoT まで、多様なアプリケーションに向けた 2D 材料インクの商用化の機会を拓くものと考える。
・ このようなテキスタイルベースの電荷貯蔵素子を衣類に取り込むことで、将来的にウェアラブルなテキスタイルデバイスへの電力供給が期待できる。
・ 本研究は、英国工学物理研究会議(ESPRC)、Newton Trust、中国国家自然科学基金(NSFC)および中国科学技術部が支援した。ケンブリッジ大学の商業化部門である Cambridge Enterprise が同技術の商用化を進めている。
(関連情報)
Nanoscale 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Wearable solid-state capacitors based on two-dimensional material all-textile heterostructures
URL: https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2019/NR/C9NR00463G#!divAbstract
<NEDO海外技術情報より>