非一様原始磁場は「ビッグバンリチウム問題」を解決できるか?

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2019-03-01 国立天文台 理論研究部
“Big Bang Nucleosynthesis with an Inhomogeneous Primordial Magnetic Field Strength”
Luo, et al. 2019, ApJ, 872,172

ビッグバン元素合成の標準モデルによる軽元素の原始存在量の予言は観測による制限とよく一致しますが、7Liに関してのみ矛盾が生じます。このことは標準宇宙論における「ビッグバンリチウム問題」と呼ばれています。私たちは、原始磁場の存在に起因する効果を調べました。 原始磁場の強度は、宇宙マイクロ波背景放射の非等方性の観測から、空間的に非一様であることが示唆されています。もし、原始磁場の局所エネルギー密度のゆらぎによって元素合成時に空間領域ごとの温度の違いが生まれるとしたら、複数の空間領域にわたって平均した粒子速度の有効分布関数にマクスウェル・ボルツマン分布からのずれが生じます。私たちの元素合成計算によって、原始磁場のゆらぎの効果を考慮することで原始7Li存在量が減少し、「ビッグバンリチウム問題」の解決に寄与することが明らかになりました。

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1701物理及び化学
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