最新の原子核物理学で探るIa型超新星爆発の点火条件

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2019-02-22 国立天文台 理論研究部

“Impacts of the New Carbon Fusion Cross Sections on Type Ia Supernovae”
Kanji Mori, Michael A. Famiano, Toshitaka Kajino, Motohiko Kusakabe, Xiaodong Tang, 2019, MNRAS, 482, L70


図: 白色矮星連星合体の進化のゆくえ。M_1は主星の質量、M_2は伴星の質量を表す。青い領域の中にある系は、炭素核融合の反応率を変えることで進化のゆくえが変わる。

Ia型超新星と呼ばれる爆発的現象は、宇宙論的標準光源として用いられる重要な天体ですが、その親星や爆発機構の詳細はいまだによく分かっていません。Ia型超新星は炭素・酸素型白色矮星の熱核爆発だと考えられており、その点火は炭素の核融合反応が引き起こすものとされています。近年まで、炭素核融合反応の「起こりやすさ」(反応断面積)はこれまで知られておらず、超新星爆発の点火条件にも大きな不定性がありました。ところが、2018年にイタリアの実験グループがNature誌に新しい共鳴状態が存在するとの実験結果を発表し、炭素核融合反応の反応率が従来使われてきたものより数十倍大きい可能性が明らかになりました。そこで本研究では、彼らの実験結果を受けて、量子力学的に共鳴状態が許されるかどうかの妥当性を含めて理論的な考察を加え、従来のものより大きな炭素核融合の反応断面積がIa型超新星の点火に与える影響を調べました。その結果、白色矮星連星合体が超新星爆発を起こす前に中性子星として崩壊する確率が大きくなることが明らかになりました。
(2019/2/22)

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