日本人の表情がエクマンの理論とは異なることを実証

ad
ad

世界で初めて日本人の基本6感情の表情を報告

2019-02-14 京都大学

佐藤弥 こころの未来研究センター特定准教授らの研究グループは、日本人65人を対象として、表情の表出を調べ、日本人の表情が心理学研究において著名なエクマン博士の理論とは異なることを実証しました。

表情は感情を表すメディアで、人のコミュニケーションに不可欠です。エクマンは、感情を表す普遍的な表情があるという理論を提案しました。理論は、観察や直感に基づいていましたが、基本感情の表情表出を実証的に調べた先行研究は、この理論を部分的にしか支持していませんでした。さらに、そうした研究は今まで、西洋文化圏でしか実施されていませんでした。

本研究では、被験者は基本6感情(怒り・嫌悪・恐怖・喜び・悲しみ・驚き)のシナリオに基づいて表情を表出しました。その結果、写真条件ではターゲットの感情が明確に表出されましたが、シナリオ条件では幸福と驚きの条件でしかターゲット感情ははっきりと表出されませんでした。さらに、写真条件とシナリオ条件では、全ての感情で、感情およびと表情の動きのパタンが異なっていました。

本研究成果は、日本人の基本6感情の表情を報告する世界初の実証的知見となります。そして、日本人において(西洋での実証研究と同様に)エクマンの普遍的な表情の理論は部分的にしか支持されず、理論を実証研究に基づいて修正する必要があることを示唆します。

本研究成果は、2019年2月12日に、国際学術誌「Frontiers in Psychology」のオンライン版に掲載されました。

図:一般日本人の写真条件とシナリオ条件の表情。幸福と驚きは写真条件とシナリオ条件で類似しているが、それ以外の感情はかなり異なる。

書誌情報

【DOI】https://doi.org/10.3389/fpsyg.2019.00259

【KURENAIアクセスURL】http://hdl.handle.net/2433/236469

Wataru Sato, Sylwia Hyniewska, Kazusa Minemoto and Sakiko Yoshikawa (2019). Facial Expressions of Basic Emotions in Japanese Laypeople. Frontiers in Psychology, 10:259.

詳しい研究内容について

⽇本⼈の表情がエクマンの理論とは異なることを実証
―世界で初めて⽇本⼈の基本 6 感情の表情を報告―

概要
表情は感情を表すメディアで、⼈のコミュニケーションに不可⽋です。⼼理学研究において著名なエクマ ン博⼠は、感情を表す普遍的な表情があるという理論を提案しました。理論は、観察や直感に基づいていま した。
しかし,基本感情の表情表出を実証的に調べた先⾏研究は,理論を部分的にしか⽀持していませんでし た。さらに、そうした研究は今まで、⻄洋⽂化圏でしか実施されていませんでした。 そこで京都⼤学こころの未来研究センターの佐藤弥特定准教授らのグループは、⽇本⼈ 65 ⼈を対象として、 表情の表出を調べました。被験者は基本 6 感情(怒り・嫌悪・恐怖・喜び・悲しみ・驚き)のシナリオに基 づいて表情を表出しました。ベースラインの写真条件として、エクマンの理論に基づいて作られた表情写真 を模倣しました。表出された表情は、AI によって、エクマン理論による感情の判別および表情の動きの判別 について解析されました。
その結果、写真条件ではターゲットの感情が明確に表出されましたが、シナリオ条件では幸福と驚きの条 件でしかターゲット感情ははっきりと表出されませんでした。さらに、写真条件とシナリオ条件では、全て の感情で、感情およびと表情の動きのパタンが異なっていました。 この結果は、⽇本⼈の基本 6 感情の表情を報告する世界初の実証的知⾒となります。そして、⽇本⼈におい て(⻄洋での実証研究と同様に)エクマンの普遍的な表情の理論は部分的にしか⽀持されず、理論を実証研 究に基づいて修正する必要があることを⽰唆します。
本研究成果は、2019 年 2 ⽉ 12 ⽇に海外⼼理学専⾨誌「Frontiers in Psychology」誌にオンライン掲載されました。


⽇本⼈の嫌悪(左)と恐怖(右)の表情。感情的なシナリオでの表情表出を求め、モーフィン グで約 60 ⼈の平均顔を作成。提案されている理論とかなり異なる。

1.背景
表情は感情を表すメディアで、⼈のコミュニケーションに不可⽋です。⼼理学研究において著名なエクマン 博⼠は、感情を表す普遍的な表情があるという理論を提案しました。理論は、観察や直感に基づいていました。 理論は世界的に広く普及しており、⽶国テレビドラマ「ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間」などでも取り上げられ ています。
しかし、基本感情の表情表出を実証的に調べた先⾏研究は、理論を部分的にしか⽀持していませんでした。 さらに、そうした研究は今まで、⻄洋⽂化圏(例えばカナダ)でしか実施されていませんでした。⻄洋と東洋 で表情に⽂化差があるという指摘があるため、普遍的な表情の理論を実証的に調べる上で、⽇本⼈を調べるこ とには⼤きな意義があります。

2.研究⼿法・成果
そこで京都⼤学こころの未来研究センターの佐藤弥特定准教授らのグループは、⽇本⼈ 65 ⼈を対象として、 表情の表出を調べました。被験者は基本 6 感情(怒り・嫌悪・恐怖・喜び・悲しみ・驚き)のシナリオに基づ いて表情を表出しました。シナリオは、例えば嫌悪では「⽣ゴミの臭いがすごく臭かった時の気持ち。臭いに おいが嫌だという気持ち」、幸福では「ずっと欲しかったプレゼントをもらったときのうれしい気持ち。すご くうれしくて幸せな気持ち」といったもので、被験者は感情体験をイメージして表情を表出しました。ベース ラインの写真条件として、エクマンの理論に基づいて作られた表情写真を模倣しました。表出された表情は、 AI によって、エクマン理論による感情の判別および表情の動きの判別について解析されました。
その結果、写真条件ではターゲットの感情が明確に表出されましたが、シナリオ条件では幸福と驚きの条件 でしかターゲット感情ははっきりと表出されませんでした。さらに、写真条件とシナリオ条件では、全ての感 情で、感情およびと表情の動きのパタンが異なっていました。(図 1・図 2)

タイトルとURLをコピーしました