極微細トランジスタ構造で1個の水分子の量子回転運動の検出に成功

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2022-01-11 京都大学

村田靖次郎 化学研究所教授、橋川祥史 同助教、平川一彦 東京大学教授、杜少卿 同特任助教、平山祥郎 東北大学総長特命教授、橋本克之 同助教らの研究グループは、電流計測により水分子の回転運動の検出に成功しました。

近年、量子情報処理技術において、分子や原子の量子状態に情報を担わせることが検討されています。1個の酸素原子と2個の水素原子からなる水分子(H2O)は構造の単純さゆえ、量子技術への応用に適しています。しかし、これまでは、水分子同士が形成する水素結合のために、単一の水分子の量子状態を測定することは困難でした。

今回、1個の水分子がカゴ状のフラーレン分子に内包されたH2O@C60分子に、原子スケールのギャップを持つ電極を形成し、H2O@C60単一分子トランジスタ構造に流れるトンネル電流を計測することにより、水分子がフラーレン分子内で行なう量子力学的な回転運動の検出に成功しました。

水分子には、2個の水素原子の核スピンの向きが平行な状態(オルソ)と反平行な状態(パラ)の2つの核スピン異性体が存在することが知られていますが、H2O@C60単一分子トランジスタに流れるトンネル電流から、2つの核スピン異性体の状態が数分以下の時間スケールで揺らいでいることを見出しました。

この計測技術は、単一分子・単一原子が持つ量子情報を読み出すための基盤技術となるもので、将来的には1個の原子が持つ量子状態を情報の媒体とする量子情報処理技術につながると期待されます。

本研究成果は、2021年12月2日に、国際学術誌「Nano Letters」のオンライン版に掲載されました。


図:(a)1nm以下のギャップを有する電極を単一H2O@C60分子に形成し、さらにゲート電極も備えた単一分子トランジスタ構造(single molecule transistor;SMT)の概念図、(b)水分子の模式図

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:村田靖次郎
研究者名:橋川祥史

メディア掲載情報
日刊工業新聞(1月11日 23面)に掲載されました。

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