給電せずに電気化学反応を駆動 ~環境にやさしい手法として期待、極限環境での利用も~

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2022-05-27 東京工業大学,科学技術振興機構

ポイント
  • 電解液の送液により生じるエネルギーを利用して駆動する電気化学反応(以下、電解反応)手法を開発
  • 環境にやさしい電解反応法を用いて、電解重合の実証に成功
  • 極限環境などでも利用できる電解反応技術として期待

東京工業大学 物質理工学院 応用化学系の稲木 信介 教授、岩井 優 大学院生(博士後期課程1年)らは、電解液の送液により生じるエネルギーを利用して有機化合物の電解反応を駆動する手法を開発した。

近年の環境・エネルギー問題の解決やSDGsの達成に向けた取り組みとして、有害・危険な試薬を用いる化学反応をクリーンかつ安全な電解反応に置き換えることが望まれている。しかし、電極に給電するための電源装置の導入や配線の煩わしさなどが課題となっている。

本研究では、希薄電解液をマイクロ流路に送液する際に生じる流動電位を利用して電極上での電解反応を駆動する、本質的に外部から給電する必要のない電解反応技術を開発した。また、この技術を用いて、芳香族化合物の電解重合を行うことにより、導電性高分子を得ることに成功した。

本研究の手法は、さまざまな有機化合物の電解反応に応用できると期待され、環境にやさしい化学反応法として有望である。また、給電を必要としない本手法は電力の届かない極限環境などにおいて電解反応を実施するデバイスとしての発展も期待される。

研究成果は、2022年5月27日(日本時間)に、「Communications Chemistry」誌でオンライン掲載される。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ 研究領域「電子やイオン等の能動的制御と反応」(研究総括:関根 泰)における研究課題「外部電場により駆動するワイヤレス電解反応システムの構築」(研究者:稲木 信介(JPMJPR18T3))、科学研究費 基盤研究(B)(研究者:稲木 信介(JP20H02796))、ならびに「東工大の星」支援【STAR】の支援を受けて行われた。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Electropolymerization without an Electric Power Supply”
DOI:10.1038/s42004-022-00682-8
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
稲木 信介(イナギ シンスケ)
東京工業大学 物質理工学院 応用化学系 教授

<JST事業に関すること>
嶋林 ゆう子(シマバヤシ ユウコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ

<報道担当>
東京工業大学 総務部 広報課
科学技術振興機構 広報課

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