イネの花粉形成を司る葯タペート細胞でオートファジーの可視化に成功

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2019-08-19  国立遺伝学研究所

Monitoring autophagy in rice tapetal cells during pollen maturation.

Shigeru Hanamata, Jumpei Sawada, Bunki Toh, Seijiro Ono, Kazunori Ogawa, Togo Fukunaga, Ken-Ichi Nonomura, Takamitsu Kurusu, Kazuyuki Kuchitsu.

Plant Biotechnology 36 (2): 99-105 (2019) DOI:10.5511/plantbiotechnology.19.0417a

オートファジーは、真核生物に広く存在するタンパク質や脂質など生体分子の大規模な分解系です。最近では、我々の主食である穀物イネの正常な花粉・種子の形成にも必須の役割を果たすことがわかっています。本論文では、イネの花粉への栄養・材料の供給組織である葯タペート細胞における、時空間的なオートファジー動態の定量解析手法を開発しました。

タペート細胞においてオートファジーの誘導過程を可視化するために、タペート細胞で特異的に発現する遺伝子のプロモーターを用いて、オートファゴソーム(用語解説)の形成に必要なATG8とGFPの融合タンパク質をイネで誘導し、解析を行いました。タペート細胞の細胞質特異的にオートファゴソーム様の構造体が観察されるとともに(図1A)、葯の発達ステージ毎の3次元画像解析から、特定のステージからタペート細胞全体にオートファジーが誘導されることが明らかになりました(図1B)。

今後は、多様なイネの葯発達に異常を示す変異体群に本技術を適用することで、穀物イネの葯発達のしくみや、その過程におけるオートファジーの重要性を明らかにできると期待されます。さらに、地球環境変動などの要因により、イネの品質や収量の低下が懸念される中で、それを防ぐ新たな技術開発への貢献も期待されます。

本研究は、東京理科大学、公立諏訪東京理科大学、国立遺伝学研究所の共同研究成果であり、NIG-JOINT (84A2018)の支援を受けました。

用語解説
オートファゴソーム:オートファジーを担う、細胞内の二重膜に包まれた球状の構造体

Figure1

図:イネの葯におけるオートゴソーム/細胞内オートファジー関連構造体の可視化
 (A) GFP-ATG8を発現するイネの葯の縦断切片の、レーザー共焦点蛍光顕微鏡による可視化解析。中央の黒い多数の球状の構造物は、将来花粉になる小胞子。GFP-ATG8はタペート組織全体に分布し(緑)、しばしばオートファゴソーム様のドット(赤い矢頭)として検出される。タペートを取り囲むマジェンタのシグナルは、葯壁細胞のクロロフィルの自家蛍光。(B) オートファジーが進行中の葯の3D再構築画像。 「図は掲載誌より転載」

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