水処理産業に抜本的な変革をもたらしうる急進的な淡水化技術

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2019/5/6 アメリカ合衆国・コロンビア大学

水処理産業に抜本的な変革をもたらしうる急進的な淡水化技術 (Radical Desalination Approach May Disrupt the Water Industry)

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・ コロンビア大学が、石油・ガス生産、海水淡水化処理や産業プロセスで発生するブライン(超高濃度塩水)の新しい処理技術、温度スイング溶媒抽出法(temperature swing solvent extraction: TSSE)を開発。

・ ブラインが適切に処理されなければ地表・地下水源汚染の恐れがある。シンプルで安価にブラインを淡水化する方法があれば、農業や産業に幅広く利用できる大量の水資源を得ることができる。

・ 同 TSSE 技術では、海水塩分濃度の最高で 7 倍の超高濃度ブラインの淡水化を実証。代表的な海水淡水化技術の逆浸透膜で処理できるのは海水塩分濃度の約 2 倍のブライン。

・ 現在、超高濃度ブラインは逆浸透膜または水蒸発により淡水化処理されているが、前者では塩分量に合わせた極めて高い圧力が必要なため効果に乏しく、ブラインを蒸発する後者ではエネルギーを大量に消費する。

・ 同大学では、高精度の有機化合物の生成や貴金属の抽出等の化学エンジニアリングプロセスで産業利用される、比較的安価でシンプルだが効果的な分離技術である溶媒抽出法の研究において、メンブレンや水蒸発による処理が不要な同技術が従来の淡水化技術を代替する優れた技術であることを確認。

・ 同技術では、塩水から水を選択的に抽出する温度に依存した水溶性を備えた低極性溶媒を利用し、メンブレンや水蒸発が不要のため従来方法のような技術的制約がない。さらに、産業廃熱や浅井戸地熱等の低位熱源からの持続的な熱供給による、安価または無料で得られる 70℃以下の低位熱で作動する。

・ 実証試験では、TSSE が最大で 98.4%の塩分を除去し、超高濃度ブラインから 50%超の水を回収。これらは従来の淡水化技術に匹敵する性能だが、逆浸透膜では超高濃度ブラインは処理できない。

・ 同技術は従来の淡水化技術を代替し、水処理産業に革新をもたらすものと考える。今後は、TSSE のさらなる性能向上と実地試験実施のための高度化を進める。

URL: https://engineering.columbia.edu/press-releases/ngai-yin-yip-radical-desalination

(関連情報)

Environmental Science & Technology Letters 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料) Membrane-less and Non-Evaporative Desalination of Hypersaline Brines by Temperature Swing Solvent Extraction

URL: https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.estlett.9b00182

<NEDO海外技術情報より>

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