極寒冷地における安定的なエネルギー供給目指す
2018-02-28 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
NEDOは2月27日(現地時間)、ロシアのサハ共和国政府およびルスギドロ社との間で、風力発電システムを含むエネルギーインフラ実証事業に関する協力覚書(MOC)を締結し、実証事業を開始しました。
この実証事業は、北極圏に位置しロシア極東でも特に寒冷な地域であるサハ共和国内の独立系統地域であるティクシ市において初めて実施されるものであり、風力発電システムを含む系統を安定化させる「ポーラーマイクログリッドシステム(Polar Microgrid System)」を構築し、安定的なエネルギー供給技術に関する実証を行います。
図1 ポーラーマイクログリッドシステムのイメージ図
1.概要
ロシア極東地域には、大規模な電力系統と接続しておらず、電力供給を小規模なディーゼル発電機に依存している独立系統地域が多数存在しています。これら地域では、発電用燃料の輸送コストにより発電単価が極めて高い状況となっています。同国地方政府は、電力価格を電力系統に接続している地域と同等程度に維持するための政策措置をとっており、大きな財政負担を余儀なくされています。また、ディーゼル発電機の老朽化が進んでおり、エネルギー安定供給に支障を来しかねない状況となっています。
このような背景のもと、NEDOは、北極圏に位置しロシア極東でも特に寒冷な地域であるサハ共和国において、風力発電システムを含むエネルギーインフラ実証事業を実施するにあたり、ロシアのサハ共和国政府とルスギドロ社との間で、実証前調査の協力に関する意向表明書に2017年9月6日に署名し、実証事業の基本的なシステム構成やスケジュールなどについて議論を進めてきました。
NEDOは2月27日(現地時間)、モスクワ市において、サハ共和国政府およびルスギドロ社との間で、風力発電システムを含むエネルギーインフラ実証事業に関する協力覚書(MOC)を締結し、実証事業を開始しました。
本実証事業では、サハ共和国内の独立系統地域であるティクシ市において初めて実施されるものであり、既存の発電設備に、風力発電機とディーゼル発電機、蓄電池によるエネルギーマネジメントシステムを組み合わせた「ポーラーマイクログリッドシステム(Polar Microgrid System)」を構築し、極寒冷地における低コストかつ安定的なエネルギー供給技術に関する実証を行います。本実証では、風力発電機とディーゼル発電機の効率的な運用により、年間約16%ものディーゼル燃料の焚き減らしが可能になると見込んでいます。
なお本件は、日露首脳会談で提示された8項目の「協力プラン」のうち「4.石油、ガス等のエネルギー開発協力、生産能力拡充」に含まれるものです。
<実証事業の内容>
- (1)期間
2018年2月~2021年2月(予定) - (2)実施体制
NEDOのMOC締結先:サハ共和国、ルスギドロ社
NEDOの委託先:三井物産株式会社、株式会社東光高岳、株式会社駒井ハルテック - (3)導入技術
【1】ディーゼル発電機、蓄電池による再エネ協調システム
【2】極寒冷地仕様風力発電機(300kW中型風車3機) - (4)実施場所
サハ共和国ティクシ市
図2 実証事業の実施場所(サハ共和国ティクシ市)
2.MOC締結式
本実証事業の推進に伴う協力体制を確立するため、2月27日(現地時間)、モスクワ市のルスギドロ本社において、NEDOの表理事、サハ共和国のボリゾフ首長、ルスギドロ社のシュルギノフ総裁が協力覚書(MOC)に署名を行いました。
また、同日、NEDOの委託先企業である三井物産(株)、(株)東光高岳、(株)駒井ハルテックとサハ共和国の電力会社サハエネルゴ社が協定付属書を締結しました。
3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO スマートコミュニティ部 担当:本間、出脇、赤岩
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:髙津佐、藤本、坂本