2019/7/9 ドイツ連邦共和国・マックスプランク協会(MPG)
(On the way to printable organic light emitting diodes)
・ マックスプランク高分子研究所(MPI-P)が、熱活性化型遅延蛍光(Thermally Activated Delayed Fluorescence: TADF)材料を使用した単層の有機 EL を開発。インクジェットプリンターによる作製の可能性が期待できる。
・ 新有機 EL のプロトタイプでは、ウェハーのような薄さの 5~7 層から構成される従来の有機 EL に匹敵する光度と効率性を確認した。
・ 従来の有機 EL は、電荷輸送層や電子を効率的に取り込んで発光する活性層等の役割を担う多層から構成されるが、新有機 EL は 2 本の電極より電気の供給を受ける単層構造。そのため、製造工程の簡易化やプリント作製できるディスプレイの実現が期待できる。
・ 同有機 EL プロトタイプでは、僅か 2.9V の電圧で 10,000cd/㎡の光度で発光。これは、現行のスクリーンディスプレイの光度の約 100 倍に相当する。また、19%の外部量子効率(消費電力の 19%を光として放出)を獲得。
・ 同プロトタイプの連続運転において、現行のディスプレイの 10 倍の光度でほぼ 2,000 時間の輝度半減寿命(LT50)を確認した。
・ 今後は、同材料にさらに改善を加えてより長い輝度寿命の達成を目指す。複雑性から解放されたこのような単層有機 EL は、輝度の経時的な低減の原因となるプロセスの解明と解決に資すると考える。
・ 同有機 EL で利用した TADF は、電気エネルギーから光への効率的な変換が 10 年前に日本で実証されて以来、有機 EL 研究で注目されている材料。現行の有機 EL で使用されるような希土類金属を含有した高価な分子複合体が不要なため、TADF ベースの有機 EL の研究開発が進んでいる。
URL: http://www.mpip-mainz.mpg.de/presse/pm-en-2019-09
(関連情報)
Nature Photonics 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Efficient and stable single-layer organic light-emitting diodes based on thermally activated delayed fluorescence
URL: https://www.nature.com/articles/s41566-019-0488-1
<NEDO海外技術情報より>