ドロップレットマイクロ流体デバイスの活用
2019-08-02 京都大学
植田充美 農学研究科教授、青木航 同助教、柳沼謙志 農学部生(研究当時)らの研究グループは早稲田大学と共同で、GPCR発現ヒト培養細胞、ランダムペプチド分泌酵母、ドロップレットマイクロ流体デバイスを組み合わせることで、ハイスループットに新規アゴニスト(作動薬)を探索できるGPCRリガンドアッセイ系の構築に成功しました。
GPCR(Guanine nucleotide binding protein(G-protein)coupled receptor:Gタンパク質共役受容体)は7回膜貫通型受容体ファミリーに属するタンパク質であり、重要な生理活性に関わるシグナル伝達を仲介しています。ヒト遺伝子の約3%がGPCRをコードしており、現在までに700から800種類のヒトGPCRが同定されています。これらのGPCRは、感覚、感情、認知、代謝、内外分泌、体循環、炎症、免疫などに深く関与しているため、GPCRの構造や機能を調べる基礎研究だけでなく、GPCRを薬のターゲットとして扱う応用研究も盛んに行われています。
本研究で実現したGPCRの新規アゴニストをハイスループットに同定可能とするシステムは、GPCRの基礎的理解のみならず、臨床応用にも重要な役割を果たすことが期待されます。
本研究成果は、2019年7月29日に、国際学術誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。
図:本研究の概要図
詳しい研究内容について
ナノバイオ手法による創薬ターゲットGPCRの機能性リガンド探索のハイスループット化に成功 -ドロップレットマイクロ流体デバイスの活用-
書誌情報
【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41598-019-47388-x
【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/243246
Kenshi Yaginuma, Wataru Aoki, Natsuko Miura, Yuta Ohtani, Shunsuke Aburaya, Masato Kogawa, Yohei Nishikawa, Masahito Hosokawa, Haruko Takeyama & Mitsuyoshi Ueda (2019). High-throughput identification of peptide agonists against GPCRs by co-culture of mammalian reporter cells and peptide-secreting yeast cells using droplet microfluidics. Scientific Reports, 9:10920.