2021-06-07 東京大学
1. 発表者
橋濱 史典 (東京海洋大学 准教授)
安田 一郎 (東京大学大気海洋研究所 教授)
隈部 あき (研究当時:東京海洋大学 学部 4 年生)
佐藤 光秀 (研究当時:東京大学大学院農学生命科学研究科 助教、現:長崎大学)
笹岡 洋志 (研究当時:東京海洋大学 博士前期課程 2 年生)
飯田 洋介 (気象庁大気海洋部 技術専門官)
塩崎 拓平 (東京大学大気海洋研究所 准教授)
齊藤 宏明 (東京大学大気海洋研究所 教授)
神田 穣太 (東京海洋大学 教授)
古谷 研 (研究当時:東京大学大学院農学生命科学研究科 教授、現:創価大学)
Philip W. Boyd (タスマニア大学海洋南極学研究所 教授)
石井 雅男 (気象庁気象研究所 研究総務官)
2. 発表ポイント
◆「海の砂漠」と呼ばれる亜熱帯外洋域において、最新の高感度分析技術を駆使して海洋表層の生物生産を支える栄養塩供給プロセスを明らかにした。
◆従来法では表層の生物生産に必要な下層からの栄養塩供給が把握できなかったが、高感度分析法により表層まで届くナノモルレベル(注 1)の窒素・リン供給を捉えることに成功した。
◆大気および下層からの窒素・リン供給と生物的窒素固定(注 2)のデータを用いて生物生産に必要な窒素とリンの供給量を計算した。窒素については生物要求を十分に満たす供給があったが、リンについては生物要求の 1 割程度の供給しかないことが確認された。
◆海洋表層では生物に利用された栄養塩をリサイクルして再利用する仕組み(再生)がある。亜熱帯外洋域では生物に含まれるリンは窒素に比べて再生されやすいため、ほんのわずかなナノモルレベルのリン供給であっても活発な生物生産を維持できることが示された。