ブリルアン散乱:集積回路のサードウェーブ

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2019/8/20 オーストラリア連邦シドニー大学

(Brillouin scattering: a third wave emerges in integrated circuits)

Professor Ben Eggleton in a photonics lab at the University of Sydney Nano Institute.

Conceptual illustration of an integrated processer using stimulated Brillouin scattering components.

・ シドニー大学が、光(フォトン)と音(フォノン)の強力な相互作用であるブリルアン散乱(Brillouin scattering)を集積回路で利用する技術の可能性について報告。オプティクスとエレクトロニクスを橋渡しする様々なアプリケーションの可能性が期待できる。
・ テラバイト規模のデータを光速で伝送する光ファイバーでは、ファイバー内の壁を反射しながら進む光波のエネルギーが微細な振動を発生させ、これが音のフィードバックパケットであるフォノンを作る。このフィードバックが、ブリルアン散乱として知られる現象である、光の散乱の原因となる。
・ このような光の散乱は信号の強度を弱めるため、エレクトロニクスや通信産業では回避したい現象だが、これを活用することで、5G、ブロードバンドネットワーク、センサーや衛星通信、レーダーシステム等を革新する新世代の集積回路の開発が進んでいる。
・ チップでの光と音の相互作用の応用は、第二次世界大戦後のマイクロエレクトロニクスの発見(携帯電話等のシリコンチップをベースとした電子デバイスの普及)、今世紀の変わり目に現れたオプティカル・エレクトロニックシステム(大規模なデータセンターの基幹を形成)に次ぐ、集積回路の第 3 の波の変革をもたらすものと考える。
・ ブリルアン散乱現象は、物質特性の測定、物質中の光と音の進み方の変換、小型オブジェクトの冷却、空間・時間・慣性の測定や光情報の伝送を可能にする。今回、これまで困難とされてきた、速度の異なる光波と音波の微細なスケールでの同時制御を可能にした。
・1960 年代および 1970 年代には、光波と音波の波長が同等となって強化されたフィードバックループを作る誘導ブリルアン散乱(stimulated Brillouin scattering SBS)が発見されている。より強力なブリルアンフィードバック効果では、電子システムが発する熱の問題を解決。音波がバッファとなってデータを減速させ、オプティカル情報をチップ環境に統合する全く新しい方法を提供する。また、SBS を使用した集積回路は、航空・航法システムで 100~1000 倍の重量のある部品を代替できる。・ 光と音の相互作用プロセスを保持する方法の研究では、同大学は 2017 年にチップ上での光から音響情報への変換に世界で初めて成功し、2018 年には大型の処理システムを不要とするチップベースの情報回復技術を開発している。産業界や政府がこれらのシステムの利用について関心を示している。・ チップスケールの統合システムの商業利用には、マイクロ波と RF プロセッサを光-音の相互作用に統合するアーキテクチャの開発や、SN 比を悪化させる、不要な光散乱によるノイズの低減等の課題が残るが、サイズ、重量、パワー(SWAP)の向上が期待できることから研究する価値があると考える。
・ また、この統合システムの基板に最適な材料の特定も重要。安価なシリコンは当然選択肢に含まれるが、光ファイバーのシリカとシリコン基板の組み合わせでは、材料の類似性により情報の漏れが危惧される。1 本の経路で光波と音波の相互作用を促しながら、それらを保持できる弾性と非弾性を備えた材料の特定が必要。高屈折率と低剛性のソフトガラス基板を作るカルコゲニドを使用する例もある。
・ 本研究には、オーストラリア研究会議(ARC)の Linkage グラント(ハリス・コーポレーション)、米国海軍研究所(ONR)、ARC の Discovery Project、米国立科学財団(NSF)が資金を提供した。
URL: https://sydney.edu.au/news-opinion/news/2019/08/20/brillouin-scattering–a-third-waveemerges-in-integrated-circuit.html

(関連情報)
Nature Photonics 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料) Brillouin integrated photonics
URL: https://www.nature.com/articles/s41566-019-0498-z

<NEDO海外技術情報より>

Abstract

A recent renaissance in Brillouin scattering research has been driven by the increasing maturity of photonic integration platforms and nanophotonics. The result is a new breed of chip-based devices that exploit acousto-optic interactions to create lasers, amplifiers, filters, delay lines and isolators. Here, we provide a detailed overview of Brillouin scattering in integrated waveguides and resonators, covering key concepts such as the stimulation of the Brillouin process, in which the optical field itself induces acoustic vibrations, the importance of acoustic confinement, methods for calculating and measuring Brillouin gain, and the diversity of materials platforms and geometries. Our Review emphasizes emerging applications in microwave photonics, signal processing and sensing, and concludes with a perspective for future directions.

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