2019/7/10 アメリカ合衆国・ロチェスター大学
未来のコンピューターはバクテリアで作る?
(Will your future computer be made using bacteria?)
・ ロチェスター大学とオランダ・デルフト工科大学が、酸化グラフェン(GO)とバクテリアの混合によるグラフェン作製技術を開発。
・ 従来の化学的なグラフェン作製手法に比して、コスト効果がより高く、製作時間を短縮し、環境負荷を低減。革新的なコンピューター技術や医療機器の開発につながる可能性がある。
・ グラファイトから剥離して作製するグラフェンは 1 原子分の薄さで最も強靭な材料だが、アプリケーション利用に必要なグラフェンの大量生産では十分な薄さと純度の獲得が困難。
・ 新手法では、グラファイトの層剥離で得た GO とシェワネラ属バクテリアとの混合により GO をグラフェンに還元する。GO の作製は容易だが、含有する酸素基により導電性に劣る。バクテリアはそのような酸素基のほとんどを除去し、GO を導電性グラフェンに変換する。
・ 同新手法によるグラフェンはまた、化学的に作製するものに比してより薄く、安定性に優れる。さらに、長期間の保存も可能なため、電界効果トランジスタ(FET)バイオセンサーや導電性インク等、様々なアプリケーションに適する。
・ 生体分子を検出する FET バイオセンサーは、例えば糖尿病のグルコースのリアルタイムモニタリングに利用できる。優れた FET バイオセンサーには、特定の分子と結合できる高導電性材料が必要。
・ 還元された GO は、軽量で高導電性であることに加え、目的とする分子の結合に利用できる少数の酸素基を保持することから、バイオセンサーでの利用に最適な材料と考える。
・ また、新手法によるグラフェンをベースとした導電性インクは、より高速で効率的なコンピューターキーボード、回路基板、(車輌ガラスのデフロスト用)微細ワイヤ等の作製に利用できる。
・ 片側のみが導電性のグラフェンを作製する「バクテリアル・リソグラフィー」も開発。高度な新ナノ複合材料開発の可能性が期待できる。
URL: https://www.rochester.edu/newscenter/graphene-nanomaterials-future-computersbacteria-389172/
(関連情報)
ChemistryOpen 掲載論文(フルテキスト)
Creation of Conductive Graphene Materials by Bacterial Reduction Using Shewanella Oneidensis
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/open.201900186
<NEDO海外技術情報より>