2019/7/2 アメリカ合衆国・ジョージア工科大学 (Georgia Tech)
微小なスーパーソニックジェットインジェクターがナノスケール積層造形技術を高速化
(Tiny Supersonic Jet Injector Accelerates Nanoscale Additive Manufacturing)
・ Georgia Tech が、高アスペクト比のナノスケール構造をより高速に製造する積層造形技術を開発。新タイプの積層造形アプリケーションや新しいナノスケール材料開発の可能性が期待できる。
・ 数 nm の集束電子ビームを使用した従来のナノファブリケーションで作製できるのは 50~100nm のナノ構造で、作製には時間がかかっていたが、今回、数 nm のナノ構造の構築と作製時間の短縮を実現した。
・ 新技術では、新たに作製した直径数μm のマイクロキャピラリーインジェクターから蒸着チャンバーへとジェット噴射されるガス状分子が真空のチャンバー中で超音速に加速し、このエネルギーが基板に吸着する前駆体を励起する。この活発な熱的状態が、ビームの電子による分子の化学結合の切断を容易にするため、ナノ構造の成長が加速。このような分子移動と反応速度の向上は指数関数的であり、微小な変化が飛躍的な結果をもたらす。
・ 同プロセスの制御とアプリケーション拡大を図るため、ナノスケールの温度測定技術を用いて、ジェット噴射を受ける吸着原子(adatoms)の温度を測定。この情報によりその原理の解明を図る。
・ 今回実証した同技術のモデル化とその原理の解明により、自己組織(DSA)やエピタキシャル成長等の他分野への応用が可能と考える。また、現在では困難な 3D ナノ構造の高速作製が可になることで、磁気メモリ、半導体材料や量子デバイス等の新しいアプリケーションの可能性も期待できる。
・ ジェット噴射を利用した前駆体の高速積層に加え、高エネルギーの不活性化ガスと前駆体ガスを含有するハイブリッドジェットも開発。ナノ構造成長の高速化のみならず、成長中の材料組成を正確に制御する。
・ 今後は同ハイブリッド手法を利用して、現在のナノファブリケーション技術では達成不可能な位相を有するナノ構造の構築を試みる。・ 本研究は、米エネルギー省(DOE)の基礎エネルギー科学局(BES)が支援した。
URL: https://www.news.gatech.edu/2019/07/02/tiny-supersonic-jet-injector-acceleratesnanoscale-additive-manufacturing
(関連情報)
Physical Chemistry Chemial Physics(PCCP)掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Non-equilibrium adatom thermal state enables rapid additive nanomanufacturing
URL: http://dx.doi.org/10.1039/c9cp01478k
<NEDO海外技術情報より>