2019/4/18 アメリカ合衆国・ウースター工科大学(WPI)
特異な微生物と異例の抽出プロセスがバイオ燃料を経済的に生成する技術を可能に
(An Exotic Microbe and an Unusual Extraction Process May Add Up to an Economical Way to Make a Promising Biofuel)
・ WPI が、超臨界 CO2 と過酷な環境を耐久する遺伝子組換えした微生物を使用したイソブタノール生成の新プロセスを開発。
・ 可燃性・有毒性で高コストな有機溶剤による従来のイソブタノール抽出には時間がかかり、イソブタノールの濃度が高まると発酵プロセスが停止する。ガスストリッピングや吸着、蒸留等による収率向上の試みはあるが、成果が限られていた。
・ 臨界点を超えた温度・圧力の状態にある超臨界流体の超臨界 CO2 を使用する新方法では、発酵プロセス停止前に高純度のイソブタノールを高速抽出する。他の抽出方法に比してエネルギー消費量が 1/6 であることを分析により確認した。
・ また、コロラド州の天然 CO2 供給源に生息するバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)の SR7 株が超臨界 CO2 環境でも成長できることを発見。SR7 株はバイオリアクタの厳しい環境だけでなく、これまでの研究で微生物が全滅した環境を耐久する。
・ この微生物にイソブタノール生成に必要な遺伝子を加え、超臨界 CO2 下での微生物の成長とイソブタノールの生成に成功した。
・ ただし、この環境下でのより安定したイソブタノール生成方法や、より高速な複製が可能な微生物の作製方法等、今後解明が必要な課題は残る。
・ 本研究は、米国立科学財団(NSF)の CAREER Award(50 万ドル)により実施。
URL: https://www.wpi.edu/news/exotic-microbe-and-unusual-extraction-process-may-addeconomical-way-make-promising-biofuel
(関連情報) Nature Communications 掲載論文(フルテキスト)
Engineered microbial biofuel production and recovery under supercritical carbon dioxide
URL: https://www.nature.com/articles/s41467-019-08486-6
<NEDO海外技術情報より>