外来種の水草の繁殖条件を波の高さから予測することに成功-琵琶湖岸における繁茂予測場所を地図化

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2019-05-24 京都大学

 田中周平 地球環境学堂准教授らは、夏になると琵琶湖に繁殖して生態系に影響を及ぼすとされる外来種の水草「オオバナミズキンバイ」について、波の高さが繁殖に影響することを明らかにし、予想分布図を作成しました。
 「オオバナミズキンバイ」は特定外来生物に指定されている水草で、琵琶湖では夏になると大量に繁殖して生態系への影響が懸念されています。琵琶湖岸の55か所のすべての群落を詳しく調査した結果、オオバナミズキンバイは波の高さが平均で18 cm以上と推定される場所では繁殖せず、18 cmから8 cmまでの場合は岸辺の近くで、8cmより波が低い場合は比較的、陸から離れた場所で繁殖することがわかりました。オオバナミズキンバイの繁殖の条件を波の高さから予測したのは世界で初めてです。
 調査および分析結果をもとに作成した琵琶湖におけるオオバナミズキンバイの繁茂範囲を予測した地図冊子については、今後琵琶湖における本水草の効率的な駆除に役立てていくことが可能です。また、本研究成果の活用は、琵琶湖の生態系の保護につながると考えられます。
 本研究成果は、2019年5月26日に開催される「琵琶湖岸に侵入した特定外来種オオバナミズキンバイの拡大予測と効率的防除に関するシンポジウム」で発表されます。

図:波浪条件と水位から予測した雄琴港におけるオオバナミズキンバイの繁茂予測範囲と実際の分布図の比較。

詳しい研究内容について

外来種の水草の繁殖条件を波の高さから予測することに成功 -琵琶湖岸における繁茂予測場所を地図化-

外来種の水草の繁殖条件を波の高さから予測することに成功
―琵琶湖岸における繁茂予測場所を地図化―

概要
 京都大学地球環境学堂 田中周平 准教授らは、夏になると琵琶湖に繁殖して生態系に影響を及ぼすとされる 外来種の水草 オオバナミズキンバイ」について、波の高さが繁殖に影響することを明らかにし、予想分布図 を作成しました。今後、この水草の効率的な駆除につながると期待されます。
 オオバナミズキンバイ」は特定外来生物に指定されている水草で、琵琶湖では夏になると大量に繁殖して 生態系への影響が懸念されています。琵琶湖岸の 55 か所のすべての群落を詳しく調査した結果、オオバナミ ズキンバイは波の高さが平均で 18 cm 以上と推定される場所では繁殖せず、18 cm から 8 cm までの場合は岸 辺の近くで、8cm より波が低い場合は比較的、陸から離れた場所で繁殖することがわかりました。オオバナミ ズキンバイの繁殖の条件を波の高さから予測したのは世界で初めてです。
 調査および分析の結果をもとに琵琶湖のどこに繁殖するかを予測した地図を冊子 カラー135 ページ)にし、 50 部作成しました。今後、琵琶湖における効率的な駆除に役立てていくことができます。これらの成果を活 用し、琵琶湖の生態系の保護につなげたいと考えています。
  本研究成果は、 独)環境再生保全機構の環境研究総合推進費推進費 特定外来種オオバナミズキンバイの 拡大防止策と効果的防除手法の開発」の支援を受けたもので、2019 年 5 月 26 日に開催される 琵琶湖岸に侵 入した特定外来種オオバナミズキンバイの拡大予測と効率的防除に関するシンポジウム」で発表されます。

ポイント

  • 波浪条件と水位からオオバナミズキンバイのポテンシャルハビタットマップを作成し、拡大エリアの予測 を琵琶湖岸のすべての抽水植物群落において実施しました。 
  • オオバナミズキンバイは波の高さが平均で 18 cm 以上と推定される場所では繁殖せず、18 cm から 8 cm までの場合は岸辺の近くで、8 cm より波が低い場合は比較的、陸から離れた場所で繁殖することがわか りました。 
  • これらの調査および分析の結果をもとに琵琶湖のどこに繁殖するかを予測した地図を冊子 カラー135 ページ)にしました。

1. 背景
 オオバナミズキンバイ」は特定外来生物に指定されている水草で、琵琶湖では夏になると大量に繁殖して 生態系への影響が懸念され、滋賀県は年間 4 億円近くをかけて駆除しています。オオバナミズキンバイは、 南アメリカなどが原産の特定外来生物で、水面に葉や茎を伸ばし、群落を作るのが特徴です。日本では 2007 年に和歌山県で初めて確認され、千葉県や茨城県の湖沼でも広がって、自治体が対応に追われています。琵琶 湖では 2009 年に見つかってから急速に繁殖し、多い時は 25 万平方メートルまで範囲を広げました。滋賀県 は年 4 億円近くの予算をかけ、大型の機械で駆除に乗り出していますが、生命力が強く、残った葉や茎の断片 からも伸びてくるため駆除が追いつかず、課題となっていました。オオバナミズキンバイの繁殖に伴い、絶滅 危惧種や在来の水生植物が多く生息する琵琶湖の北西では、数が減ったり生息が確認されなくなったりしてい て、専門家からは生態系への悪影響が指摘されています。

2. 研究手法
  GPSmap60CSx、GPSmap62S、GPSmap64S (GARMIN 社) のいずれかの GPS を手に持ち、オオバナミズ キンバイ群落の縁辺部および植生界を踏査しながら、数歩ごとに GPS に位置情報を記録しました。胴長での 踏査が困難な場所ではボートから双眼鏡 PROSTAFF10×42、Nikon)を用いて本種の有無を確認し、存在を 確認した場合は、GPS により位置情報を記録しました。琵琶湖岸抽水植物群落 132 群落 118ha を対象に、2015 年に本調査を実施しました。また、植物群落内の数十地点において標尺を用いて水深を測定し、当日の琵琶湖 水位との関係から地盤高を計算しました。水面よりも高い地盤高についてはオートレベルと用いて水準測量を 実施しました。2008 年~2011 年にかけて琵琶湖岸抽水植物群落 132 群落を対象に地盤高分布調査を実施し、 3 次元スプライン補間を用いて群落全体の地盤高分布データとしました。踏査によって得られた位置情報デー タは、国土地理院の計算式を用いて、緯度・経度から x 軸・y 軸からなる平面直角座標系に変換しました。
 琵琶湖周辺の 12 か所 彦根 ・今津 ・南小松 ・雄琴沖 ・大津 ・琵琶湖博物館など)の観測地点における 2014 年 1 月 1 日~2014 年 12 月 31 日までの日最大風速とその風向 16 方位)データを収集し、さらに各オオバナ ミズキンバイ群落から対岸までの有効吹送距離 16 方位)を計算し、有義波高の計算に用いました。

3. 研究成果
 オオバナミズキンバイは波の高さが平均で 18cm 以上と推定される場所では繁殖せず、18 cm から 8 cm ま での場合は岸辺の近くで、8cm より波が低い場合は比較的、陸から離れた場所で繁殖することがわかりました。 オオバナミズキンバイの繁殖の条件を波の高さから予測したのは世界で初めてです。
 これらの調査および分析の結果をもとに琵琶湖のどこに繁殖するかを予測した地図を冊子 カラー135 ペー ジ)にし、50 部作成しました。今後、琵琶湖における効率的な駆除に役立てていくことができます。
4. 今後への期待
 本研究は 独)環境再生保全機構の環境研究総合推進費 特定外来種オオバナミズキンバイの拡大防止策と 効果的防除手法の開発」 課題番号 4-1801、研究機関 平成 30 年度~平成 32 年度、研究代表者 田中周平 京都大学))の採択を受けました。1 年目の研究成果などを発表するシンポジウムを 2019 年 5 月 26 日に行 います。これらの成果を活用し、琵琶湖の生態系の保護につなげたいと考えています。
<論文タイトルと著者>
タイトル:特定外来種オオバナミズキンバイの拡大防止策と効果的防除手法の開発
著 者 :田中周平、野間直彦、徳岡誠人
掲 載 誌 :環境研究総合推進費中間研究成果報告書 4-1801)
<参考図>

図 1. 波浪条件と水位から予測した雄琴港におけるオオバナミズキンバイの繁茂予測範囲と実際の分布図の比較。

図 2. 2018 年に琵琶湖北湖西岸の針江地区に侵入したオオバナミズキンバイの写真

図 3. ポテンシャルバビタットマップの冊子の表紙 カラー135 ページ、50 部作成)

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