2019-03-23 国立極地研究所
放球棟内でゴム気球にヘリウムを充填する様子
3月14日から3月23日の10日間、4時間に1度、ゴム気球にGPS・温度・湿度・気圧を測るセンサーを繋いで空に飛ばす、ラジオゾンデの集中観測を行いました。この観測は、大型大気レーダー(PANSYレーダー)の特殊観測と同期した観測で、地上1.5kmから15km(対流圏から下部成層圏)の大気の微細構造に着目した研究のための観測です。
今回のラジオゾンデ観測では、ゴム気球が直径およそ1.5m、1500gの浮力を持つまでヘリウムガスを充填します。ゴム気球の原料には自然分解されやすい天然ゴムが使われています。この気球は、風に流されながら、オリンピックのマラソン選手くらいの速さ(1秒で約5.5m、1時間で約20km)で上昇し、うまくいくと高さ35km程度(成層圏)まで割れずに到達します。気球に繋げられたセンサーは飛んでいる高さの風速・温度・湿度・気圧の情報を地上に送信します。
気象庁が定常観測として行っている1日に2回のラジオゾンデ観測に加えて、4回の観測を行い、10日間で合計60発(追加分は40発)の気球を昭和基地の空に飛ばしました。これほどの数の観測を行うのはなかなか大変で、多くの隊員が協力して観測を遂行しました。
10日間の中には、風が強く気球を持って立っているのすら困難な日もあります。このような日は気球を割らずに、さらにセンサーを壊さずにうまく空に放つ(この作業のことを放球と呼んでいます。)のはとても難しく、実際に失敗してしまった回もありました。うまく放球できなかった後には、撮った動画を見返しながらどうしたらうまく放球できるかについて隊員間で作戦会議をしました。
3月の観測で培った技術と経験を活かして、8月にも行われる10日間のラジオゾンデ集中観測に臨みます。
2019年3月23日の気象情報
天気 | 日の出 | 日の入 | 最高気温 | 最低気温 | 最大風速 |
くもり | 6:28 | 18:27 | -1.5℃ | -8.0℃ | 20.1m/s |