2018-07-13 国立天文台
夜空で赤く輝く火星は、地球のひとつ外側を公転している惑星です。火星は直径が地球の半分ほどしかなく、地球から遠い位置にあるときには、望遠鏡を使っても表面のようすをなかなか観察することができません。しかし、火星はおよそ2年2カ月ごとに地球に接近し、観察の好機を迎えます。そして、その観望の好機が、2018年の夏に訪れます。2018年の夏は、赤く輝く火星に注目しましょう。
火星と地球の最接近は、2018年7月31日に起こります。このときの火星と地球の間の距離は5,759万キロメートル(注1)。これは、「大接近(注2)」とも呼ばれる近い距離での最接近となります。このころの火星はマイナス2.8等の明るさで輝き、視直径(注3)は24秒角を超えます。
2003年には、地球と火星が5,576万キロメートルまで接近し、大きな話題になりました。今回は、これには少しおよびませんが、6,000万キロメートルよりも近い距離での接近となるのは、2003年以来15年ぶりとなります。
「大接近」と聞くと、その日や時刻ばかりを気にしてしまいがちです。しかし、火星の明るさは2018年6月下旬から9月上旬頃までマイナス2等を超え、観察しやすい時期が長く続きます。
2018年夏から秋にかけて、赤く明るく輝く火星を楽しみましょう。
(注1)地心距離で表した距離。地心距離とは地球の中心から対象天体の中心(この場合は火星)までの距離のこと。この解説ページでの「距離」は、すべて地心距離を用いている。
(注2) 「大接近」は慣例的に呼ばれている名称で、特に明確な定義はない。
(注3) 天球上における天体(この場合は火星)の見かけの直径のことで、度、分、秒の角度で表される。月の視直径は約30分角(1度=60分角、1分角=60秒角)。この時の火星は、月の視直径の約77分の1に見えることになる。この解説ページでの視直径は、すべて地心(地球の中心)での値を用いている。