2019/5/23 中華人民共和国・香港理工大学 (PolyU)
PolyU がウェアラブルエレクトロニクスで高まる需要に応える超フレキシブルでエネルギー高密度のテキスタイルリチウム蓄電池を開発 (PolyU develops Highly Flexible High-energy Textile Lithium Battery to cope with surging demand for Wearable Electronics)
・ PolyU の Institute of Textiles and Clothing (ITC)が、超フレキシブル・超軽量でエネルギー高密度のテキスタイル型リチウム-硫黄蓄電池(Textile Lithium Battery)を開発。
・ 医療モニタリングやスマートテキスタイル、GPS や IoT 等の多様なアプリケーションのウェアラブルエレクトロニクスに安定して安全に電力を供給する。
・ 同テキスタイル蓄電池は、0,5mm を下回る薄さで高速充放電し、従来のリチウム蓄電池よりサイクル寿命が長い。450Wh/L 超の高いエネルギー密度と 1mm を下回る曲げ半径を有し、ほとんど容量劣化なく 1,000 サイクル超の折り曲げが可能。既存の折り曲げられるリチウム蓄電池では、曲げ半径が約 25mm でエネルギー密度が 200Wh/L。
・ 同蓄電池技術は、本年 4 月に開催された第 47 回ジュネーブ国際発明展( International Exhibition of Inventions of Geneva)にて、金メダルと特別賞を受賞している。
・ ウェアラブル技術はスマートフォンに次ぐ大規模な世界市場機会とされる。ウェアラブルデバイスの世界市場売上高は毎年 20%超の成長を続け、2024 年には 1 千億ドルに達すると予想されている。・ ウェアラブルエレクトロニクス全てにおいてウェアラブルなエネルギー供給は不可欠なため、同技術は航空宇宙、ファッション、IoT からあらゆるセンシング・トラッキングまで、広範囲にわたる次世代アプリケーションにおいて有望なソリューションを提供できると考える。
・ 同蓄電池は、同大学が特許を保有する新技術の Polymer-Assisted Metal Deposition(PAMD)により、前処理したファブリックに高導電性金属の銅(Cu)とニッケル(Ni)を均一に積層して作製。シート抵抗が低く、表面積の大きな金属ファブリックが電池の集電体の役割を担う。活性物質の添加により正極・負極としての機能を付加し、セパレーターと電解質で同テキスタイル型リチウム蓄電池が完成する。
・ 研究室での試験では、同電池が変形した状態でも優れた機械的安定性、耐久性と安全性を確認。繰り返し半分に折り曲げ、ねじり、あらゆる角度にひねったり丸めても、電位窓には変化がなかった。・ 安全性の試験では、連続して叩いたり、ハサミで切断しても発火等の危険性なく電力を供給できた。
URL: https://www.polyu.edu.hk/web/en/media/media_releases/index_id_6648.html
(関連情報)
Nature Communications 掲載論文(フルテキスト)
Flexible and stable high-energy lithium-sulfur full batteries with only 100% oversized lithium
URL: https://www.nature.com/articles/s41467-018-06879-7
<NEDO海外技術情報より>