2020-03-10 海上保安庁
1.噴火の状況
3月9日午後、第三管区海上保安本部羽田航空基地の所属航空機により、西之島の火山活動の観測を実施しました。 詳細は以下のとおりです。
【調査結果】
・噴火中央火口から連続した噴火が認められる。 灰色の噴煙が最大高度約1,000mまで達している。 噴石の飛散範囲は中央火口丘の麓までで収まっており、前回(2月17日)と比較して、大きく変化はしていない。
・溶岩前回と同様に中央火口丘の北東側中腹から北岸方向へ溶岩が流下し、海へ流入しており、溶岩流の先端から白色の水蒸気が認められるほか、東岸からの溶岩の海への流入も継続している。北岸方向への溶岩の流下距離は1kmに達している。また、新たに中央火口丘の南西の中腹からも溶岩の流下が認められる。
・変色水西岸~北岸~東岸にかけて黄緑色の変色水が認められる。一方、2月4日に西之島の南方約5海里(約9km)で確認された変色水については、認められなかった。
2.航行警報
引き続き西之島の半径1.4海里以内を警戒範囲として、付近航行船舶に注意を呼びかけています。
また、2月4日に変色水が確認された西之島の南方約5海里付近についても引き続き、付近航行船舶に注意を呼びかけています。
3.東京工業大学理学院火山流体研究センター 野上健治教授のコメント
・西之島の中央火口丘の頂部からは連続的に灰色の噴煙を放出しており、マグマヘッドが山頂部まで達していることを示している。二酸化硫黄の放出量が2月の観測時よりも増加していると考えられる。
・溶岩は北端の海岸から海に流入しており、浅海部を着実に埋め立ててその面積を増している。
・今回の調査結果から、深部からのマグマの供給が衰えている兆候は認められず、しばらくは現状の活動を継続すると考えられる。その後は小規模ながら爆発的噴火に移行する可能性がある。溶岩の流下によって面積が北方に拡大しているが、これもしばらく継続すると考えられる。
図1 調査結果の概略図(基図:海図W1356「西之島」令和元年5月刊行)
図2 西之島の全景。噴煙が高度約1,000mまで上がっている。(3月9日撮影)
図3 西之島中央火口付近。(3月9日撮影)
図4 中央火口丘から西之島の北岸方向。(3月9日撮影)
図5 溶岩が北岸から海へ流入。(3月9日撮影、熱赤外線画像)
図6 西之島の位置出典:海洋状況表示システム
Webアドレス:https://www.msil.go.jp/msil/htm/main.html