金属酸化物を注入したメンブレンが低エネルギーの化学物質分離方法を提供

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2019/7/18 アメリカ合衆国・ジョージア工科大学 (Georgia Tech)

 (Metal Oxide-infused Membranes Could Offer Low-Energy Alternative For Chemical Separations)

Abstract Image

・ Georgia Tech は、化学物質の分離エネルギー消費低減のため、エネルギー集約的な蒸留法ではなく、金属酸化物である酸化アルミニウムを高分子メンブレン(PIM-1)に注入して耐久性を高めた化学物質分離法を開発。

・ 従来の一般的な化学物質分離方法は蒸留など熱駆動型であり、分離過程で消費するエネルギーは莫大。熱や化学相転移に頼らない分離が可能となれば、消費エネルギーコストを 90%近く低減できる。

・ プラスチックメンブレンは、例えば海水の淡水化等、特定のサイズや状態の分子を分離させることはできるが、ほとんどの有機メンブレンは、高濃度な化学溶剤の過酷条件下での分離に耐えられない。

・ 得られたメンブレンは、過酷な化学物質にも損傷を受けることなく耐えられ、従来の手法より大幅に効率的。

・ 製造方法は気相浸透法とよばれており、あらかじめ作製した高分子メンブレンを炉に入れ、金属を含んだ蒸気にさらしてメンブレン内部に浸透させるだけ。高分子メンブレン全体に金属酸化物の均一な組織を形成する。生成されたメンブレンは有機無機ハイブリッドメンブレンと呼ばれ、過酷な溶剤に耐えられるだけでなく、化学的な分離能力も向上。

・ 分離が必要な化学物質は、サイズや形、性質が類似していることが多く、膜分離法の適用が困難。新技術の有機無機ハイブリッドメンブレンを使用すると、類似した化学物質をより選択的に分離できる。この有機無機ハイブリッドメンブレンを、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルムや有機溶剤など、純粋な高分子メンブレンを数分で溶解する過酷な溶剤で試験した結果、メンブレンは試験期間中何か月も安定したままであった。

・ また、ほぼ同じサイズの 2 種類の化学物質を試験。有機無機ハイブリッドメンブレンは、わずか 0.2 ㎚の大きさの差の芳香族分子を検知し、分離させた。

・ 本技術の手法は、製造面からみても分かりやすいので、産業スケールへの転換も可能と期待される。今後は、注入する酸化物を微調整して、様々な化学物質の分離に対応可能な新しいタイプのメンブレンを開発する予定。

・ 本研究は、米国防総省の National Defense Science & Engineering Graduate Fellowship Program および、米国立科学財団助成金番号:CBET 1653153, ECCS-1542174 より資金を得た。

URL: https://www.news.gatech.edu/2019/07/18/metal-oxide-infused-membranes-could-offerlow-energy-alternative-chemical-separations

(関連情報) Chemistry of Materials 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)

Vapor Phase Infiltration of Metal Oxides into Nanoporous Polymers for Organic Solvent Separation Membranes

URL: https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.chemmater.9b01141

<NEDO海外技術情報より>

0504高分子製品0505化学装置及び設備
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