2019/4/3 アメリカ合衆国・ウィスコンシン大学マディソン校
スペクトルを広げる:日常生活で使用できるプロ仕様のピンサイズセンサー
(Broadening the spectrum: A professional-quality pin-sized sensor with everyday applications)
・ ウィスコンシン大学マディソン校が小型でシンプルな分光器を開発。精度を損なうことなく携帯電話のカメラに統合できる。
・ 物質が吸収・放出する光による独自の「指紋」から危険な化学物質等を検出する分光器は、大型・高価で壊れやすいため研究室外での利用が困難。コンパクトな新分光器は、低い製造コストで高い分解能を提供する。
・ 同分光器はまた、画像中の個別のピクセルの情報を収集することで、物質を判別したり、複雑な背景に埋もれた特定のオブジェクトを認識する、ハイパースペクトルセンシングの機能も備える。この機能は、鉱物の表面にある高価値な薄層の発見や、多種の植生に覆われた地域での特定の植物の識別に利用できる。
・ 分光器は通常、プリズムや回折格子を使用して、物体が放出する光を各波長に対応する周波数帯域に分光し、カメラの光検出器がそれらの帯域を獲得・分析する。例えば、ナトリウム元素の指紋は 589nm と 590nm の波長で構成されることがわかる。
・ 様々な色が混合した光の分光において、光線の移動と分離のための長い経路を必要とするため分光器は比較的大型となるが、新デバイスのサイズは僅か 200×200 マイクロメートル(ボールペンチップの約 1/20 の面積)。標準的なデジタルカメラのセンサー上に直接配置できるほど精密。
・ 同デバイスの小型化は、センサーに届く前に入射光を複数回往復させる特殊設計材料により実現。このような内部での光の反射により、材料を追加することなく光が移動する経路を延伸し、デバイスの分解能を向上させた。
・ また、数字の 5 と 9 が重なった、肉眼では識別できない画像について同デバイスでスナップショットを撮影。それぞれのスペクトル情報を獲得して解読し、ハイパースペクトルイメージング機能を実証した。
・ 今後は同デバイスの分解能と取り込むイメージの明瞭度を向上させ、より高性能のセンサー開発を目指す。
URL: https://www.engr.wisc.edu/broadening-spectrum-professional-quality-pin-sized-sensoreveryday-applications/
(関連情報)
Nature Communications 掲載論文(フルテキスト)
Single-shot on-chip spectral sensors based on photonic crystal slabs
URL: https://www.nature.com/articles/s41467-019-08994-5
<NEDO海外技術情報より>