色と熱特性を分離した材料を開発

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2019/4/2 アメリカ合衆国・マサチューセッツ工科大学(MIT)

色と熱特性を分離した材料を開発
(Researchers tune material’s color and thermal properties separately)

The visual and thermal properties of polyethylene can be tweaked to produce colorful films with a wide range of heat-radiating capabilities.

Fig. 7.

・ MIT が、色と熱がそれぞれ有する特性を個別に設定できる、薄く強靭なポリマー材料を開発。
・ 熱を反射して涼しさを保つ極薄い黒色フィルムのサンプルを始め、可視光への反応に関わらず赤外光を反射
・吸収する様々な色合いのフィルムを作製した。
・ 熱を反射するカラフルなビルファサード、窓や屋根、光を吸収して熱を放散するソーラーパネル用カバー、衣類やテント、バックパック用の軽量なファブリック等、色が物体の熱収支に及ぼす影響を考慮することなく、使用する環境に対応して熱を吸収・反射する製品での多様なアプリケーションが期待できる。
・ 熱の放散に優れず硬くて脆く厚みのあるガラスでは、色合いの調整は容易でも熱への反応の調整が困難。さらに、着色したガラスに特定の方向から太陽光が当たるとホットスポットが発生し、ガラスでは放散しにくい。熱の伝導・放散がうまくできなければ、熱が材料を損傷する恐れがある。
・ これらのことはプラスチックの多くにも当てはまる。プラスチックは多様に着色できるが、ほとんどが熱を収集して捕獲し、反射しない。
・ エレクトロニクスアプリケーションに向けた、フレキシブルで軽量なポリマーに熱伝導性を付与する過去の研究において、ポリエチレン等のポリマーを引き伸ばし、熱伝導性が得られるようにその内部構造が変えられることを発見。今回、この技術に色特性を追加して多機能材料を開発した。
・ 新ポリマーフィルムの作製では、ポリエチレンのパウダーと化学溶媒の混合物にフィルム着色用のナノ粒子を加える。例えば黒色フィルムの作製にはシリコン粒子を、赤、青、緑、黄色のフィルムの作製では市販の色素を加える。
・ ナノ粒子を添加したこれらのようなフィルムをロール・ツー・ロール装置で加熱・軟化させて引き伸ばすとフィルムの透明度が向上し、通常ではからまったスパゲティー状のポリマー鎖がまっすぐに整列して並行なファイバーを形成。
・ 完成したサンプルフィルムをソーラーシミュレーター下に置くと、より多く引き伸ばしたフィルムにおいて熱の放散が優れることを確認。整列した長いポリマー鎖が熱移動の経路を提供し、これらの直線状のポリマー鎖に沿って熱源から「バリスティック(弾道的)」にフォノンとして熱が放散することでホットスポットの形成を回避する。
・ また、引き伸ばしを抑えると、からまったポリマー鎖にてホットスポットを形成し、フィルムの保温性が向上。このように、フィルムを引き伸ばす程度を調整することで、材料の色合いに関係なく熱伝導特性が調整できる。使用するナノ粒子の選択では、色合いだけでなく、不可視な放射熱との相互作用も考慮した。
・ ポリマー材料の色合いと熱特性を、その寸法と内部構造に基づいて計算するアルゴリズムを提供するウェブサイトの公開を予定。現在、保温・放熱が設計できる軽量な衣類を作る、ナノ粒子を埋め込んだポリエチレンの織り糸を開発中。
URL: http://news.mit.edu/2019/researchers-change-materials-color-thermal-0402

(関連情報)
Optical Materials Xpress 掲載論文(フルテキスト)
Optical engineering of polymer materials and composites for simultaneous color and thermal management
URL: https://www.osapublishing.org/ome/abstract.cfm?uri=ome-9-5-1990

<NEDO海外技術情報より>

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