再エネの発電量を抑える「出力制御」、より多くの再エネを導入するために

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2018/09/07 資源エネルギー庁

鹿児島の太陽光発電所の写真です。

鹿児島の太陽光発電所

2018年7月に閣議決定された第5次エネルギー基本計画では、「再生可能エネルギー(再エネ)を主力電源化していく」ことが打ち出され、その方針を受けて、現在もさまざまな再エネの導入に向けた検討がおこなわれています。そんな中、再エネの発電量を減らすために特定の発電機を停止させる「出力制御」がおこなわれるかもしれないという話がきこえてきます。一見矛盾するようにも思えるこの話、いったいどういうことなのでしょう?今回は「再エネ大量導入」と「出力制御」の関係について見てみましょう。

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九州地方は再エネ先進地域

日照条件に恵まれている九州地方では、今でも毎月5万kWのペースで太陽光発電の導入が進んでいます。2018年7月末時点で、合計約800万kWの太陽光発電が導入され、九州地方の太陽光発電の導入比率は全国の約2割におよんでいます。

こうした太陽光発電などの再エネ導入が拡大した結果、九州では多くの電気が再エネでまかなわれています。2018年のゴールデンウィーク、5月3日の13時には、九州地方における再エネの出力(発電した電気の量)は、需要すべてのうち93%(太陽光だけでも81%)に相当する量を記録しました。つまり、この時間帯は、九州で使われているほとんどの電気が再エネで発電されていたことになります。

2018年5月3日の九州の電力需給実績
2018年5月3日の九州の電力需給実績を示した図です。

国際エネルギー機関(IEA)は、太陽光発電や風力発電のような、自然条件によって発電量が変動する再エネの導入比率がどれくらい進んでいるかによって、世界の国や地域を4つのグループに分けています。その中で九州地方は、日本で唯一、再エネ導入が進む欧州各国(ドイツ、スペイン、英国など)と同じ「フェーズ3」に位置づけられています。まさに、日本の再エネ先進地域といえます。

各国の変動再エネ比率と運用上のフェーズ(2016)
各国の変動再エネの比率と運用上のフェーズがどこにあるかを示した図です。

(出典)IEA「System Integration of Renewables」を基に作成

ただ、太陽光は昼間には最大の発電量を記録するものの、夕方にかけて太陽の光が弱くなると、発電量が減少していきます。このように、出力が変動する太陽光発電をうまく活用していくためには、火力発電所で不足ぶんをおぎなったり、余った電気を揚水発電所の水をくみ上げることに使うなどして、うまく需要と合わせていくことが重要です。電気は、瞬時瞬時で需要と供給を一致させる必要があります。このため、需要と供給のバランスが崩れてしまうと、広域で停電してしまう可能性があります。再エネを大量に導入することと、電力を安定的に供給していくことを両立させていくことが、非常に重要となるのです。

太陽光の発電を制御するってどういうこと?

電力の需給バランスを保ち広域で停電が起こることを回避するため、発電量が需要量を上回ってしまう場合には、発電量を調整していくことが必要になります。この時、どういう順番や考え方で発電量と需要量を一致させていくのかを決めているのが「優先給電ルール」です。太陽光の発電の制御も、このルールに基づいておこなわれます。このルールに基づく制御の順番は電源の特性に合わせて決められており、その順番は大まかに言うと、①火力の制御、揚水の活用(余った電気を利用した水のくみ上げ)→②ほかの地域への送電→③バイオマスの制御→④太陽光・風力の制御→⑤水力・原子力・地熱の制御となっています。

優先給電ルールに基づく対応
優先給電ルールに基づく対応フローを示した図です。

「原発を先に止めるべきではないのか?」という疑問の声もあります。どうして、太陽光や風力の制御の順番を一番最後にしないのでしょうか。それには、各電源(電気をつくる方法)が持つ技術的な特徴が関係しています。水力・原子力・地熱は「長期固定電源」と呼ばれ、発電量を短時間で調整することが難しいという特徴があります。一度発電を抑制すると、出力をすぐに元に戻すことができないのです。一方、もしも長期固定電源を太陽光より先に止めてしまい、太陽光を抑制せずに使うとすると、前述したように太陽光は時間帯などによって発電量が変わるため、発電しない時間帯が生じてしまいます。その時間帯は火力発電でカバーしなくてはならなくなり、国民負担の増加や、CO2を多く排出してしまうことにつながります。たとえば、100万kWの原子力発電所(原発)を止めて、太陽光と火力で同じ量の電気を供給した場合、概算すると1日当たり1.3億円の国民負担が増加してしまうことになります。(※)

長期固定電源を再エネに変えた場合に起こる変化を示した図です。

※発電コストを原子力10円/kWh、太陽光24円/kWh、火力(LNG)14円/kWh、太陽光の発電比率を14%(残りを火力)として機械的に概算した数字。

このような理由から、出力制御がおこなわれる時には、太陽光・風力は水力・原子力などより先に制御の対象とされるわけです。

この出力制御のルールは、再エネを導入する際のルールとして位置づけられ、発電事業者にもあらかじめ知らされています。しかし裏を返せば、自然条件によって発電量が変動するという難しさのある太陽光・風力発電でも、万が一発電しすぎた場合には出力制御をおこなうことができるという安全弁があるおかげで、安心して電力網への接続量を増やすことができるのです。接続量が増加した結果、再エネの発電量は、たとえ出力制御がおこなわれる時間帯が生じたとしても、1年を通した全体としてみれば、増加することになります。つまり、出力制御は、再エネ導入に役立つ対応なのです。実際、前述のIEAの分類において「フェーズ4」に位置づけられるアイルランドや「フェーズ3」に位置づけられるスペインなどでも、出力制御を条件とすることで再エネの導入を進めており、実際に出力制御がおこなわれることがあります。

需要が大きい日と小さい日の電力を示したイメージ図です。

九州地方で出力制御は起こるの?

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