高速変形でも壊れにくいマグネシウム合金の開発

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~市販アルミニウム合金に匹敵する変形能を実現 自動車などの軽量化貢献に期待~

2018.01.24 国立研究開発法人物質・材料研究機構

NIMSは、高速で圧縮しても壊れずに変形できるマグネシウム合金の開発に成功しました。

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概要

  1. NIMSは、高速で圧縮しても壊れずに変形できるマグネシウム合金の開発に成功しました。市販のアルミニウム合金に匹敵する変形能を持ちつつ、アルミニウム合金より軽量であるため、自動車をはじめとする多様な部材の軽量化に貢献することが期待されます。
  2. マグネシウムは、実用金属材料の中で最も軽く、自動車や鉄道車両などを軽量化できる金属材料として注目されています。室温で大きな力を加えると、瞬時に壊れてしまう欠点がありましたが、研究チームは昨年、マグネシウムに微量のマンガンを添加することで、力を加えても急には壊れず、樽状に変形できるマグネシウム合金の開発に成功しています。ただし、この性質は、力を加える速度が遅い場合のみに限られ、落下や衝突など高速で力が加わった場合にも壊れない性能が求められていました。
  3. 今回、研究チームは、マンガンに代えて、極微量のビスマスを添加したマグネシウム合金を作成しました。この開発材を、室温で、一般的な評価速度よりも100倍程度速い速度で圧縮したところ、急には壊れず、樽状に変形できることが分かりました (下図) 。破壊に対する吸収エネルギーは、市販のマグネシウム合金に比べて5倍以上優れており、市販のアルミニウム合金に匹敵します。開発材の内部を詳細に観察したところ、添加したビスマスがマグネシウムの結晶粒の間に存在しませんでした。マンガンを添加した場合、粒界に微量にマンガンが存在していましたが、それに比べて結晶粒が互いに滑りあう粒界すべりが、更に促進されたと考えられます。
  4. 軽量なマグネシウム合金が、室温でも高速で壊れることなく変形できるようになったことから、自動車や車いす、鉄道車輛の座席、自転車のフレームなど、用途の拡大が期待されます。また、プレス加工に代表される二次加工に関しても、加工温度の低温化 (省エネルギー化) や、加工装置にかかるコスト低減などへの効果も期待できます。様々な部位や分野で使用できるように、今後は、素材のスケールアップ化と、さらなる高強度化と高速度変形化の両立を目指します。
  5. 本研究は、国立研究開発法人物質・材料研究機構 構造材料研究拠点の染川英俊グループリーダーらによって行われました。本研究成果は、Scientific Reports誌にて2018年1月12日に掲載されました。

「プレスリリースの図1 : 室温で圧縮し、樽状に変形した開発材。試験速度は0.8mm/s。」の画像
プレスリリースの図1 : 室温で圧縮し、樽状に変形した開発材。試験速度は0.8mm/s。

 

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