2019-02-27 東京大学大学院工学系研究科精密工学専攻 三村 秀和准教授ら
目に見える可視の光を反射するミラーは容易に作れますが、レントゲン等で用いる目に見えないX線を反射するミラーは簡単には作ることができません。東京大学大学院工学系研究科(以下、東京大学)の三村秀和准教授、夏目光学株式会社(以下、夏目光学)の夏目佳春社長らは共同で軟X線(注1)を微小に集光可能な、従来にないタイプの高精度回転体X線ミラー(注2)の開発に成功しました。このミラーは、チューブ形状をしており内側がX線を反射する面になります。
本研究では、ミラー形状と反転形状を持つ型を高精度に作製し、同じ精度で形状をコピーすることでミラーを作製する方法を開発しました。夏目光学の超精密ガラス加工技術と東京大学の超精密転写技術を組み合わせることで開発に成功し、大型放射光施設SPring-8において高効率な理想的な軟X線集光性能を確認しました。
本研究成果である高精度回転体X線ミラーを使うことにより、未知の物質内部の構造や元素を高い分解能で観察することが可能になります。このミラー製造技術は、X線用のミラーに限らず、情報通信や半導体機器用のミラーの製造にも展開が可能であり、日本の精密ものづくり分野に貢献することが期待されます。
本研究成果は、2019年3月13日~15日に東京電機大学(東京都足立区)で開催される2019年度精密工学会春季大会にて発表されます。
プレスリリース本文:/shared/press/data/setnws_201902271504363475467714_313011.pdf
公益社団法人精密工学会 2109年度春季大会:http://www.jspe.or.jp/event/jspe_meeting/2019-03spring/