ベイズ推定を用いた新たな電子構造の解析法を開発 ~トポロジカル絶縁体などを巡る数々の論争の決着へ~

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2021-07-27 東北大学材料科学高等研究所,九州大学,京都産業大学,ケルン大学,産業技術総合研究所,科学技術振興機構

ポイント
  • 新規開発の手法により、膨大な数のパラメーターを持つ電子構造の全貌を明確化
  • トポロジカル絶縁体における長年の問題を解決するための突破口に
  • 原子層物質や超伝導体などより広範な機能性材料の解析にも適用可能

電気が流れる、磁石に付く、透明不透明、といった物質の性質は、物質中の電子の振る舞いによって決まります。しかし従来の方法では、膨大な数のパラメーターを持つ電子構造の全貌を明らかにすることが困難でした。

東北大学 材料科学高等研究所の佐藤 宇史 教授、九州大学 情報基盤研究開発センターの徳田 悟 助教、京都産業大学 理学部の瀬川 耕司 教授、ドイツ ケルン大学の安藤 陽一 教授、産業技術総合研究所 産総研・東北大数理先端材料モデリングオープンイノベーションラボラトリ(MathAM-OIL)の中西 毅 ラボ長らの研究グループは、IT分野などで幅広く用いられている「ベイズ推定」という統計学的手法を用いて電子構造の全貌を明らかにする新しい解析方法を開発しました。本手法により、近年提唱された「トポロジカル絶縁体」と呼ばれる新奇物質における、相対論的ディラック電子の質量を10年越しに正確に決定することに成功しました。本解析法は、トポロジカル絶縁体だけでなくさまざまな機能性材料に対しても広く適用可能で、次世代放射光などによって得られる電子構造データの解析にも役に立つと期待されます。

本研究成果は、ネイチャー系英国科学誌「Communications Physics」の2021年7月27日号で公開されます。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST「トポロジカル材料科学に基づく革新的機能を有する材料・デバイスの創出」研究領域(研究総括:上田 正仁)における研究課題「ナノスピンARPESによるハイブリッドトポロジカル材料創製」(研究代表者:佐藤 宇史)、日本学術振興会 新学術領域研究「トポロジーが紡ぐ物質科学のフロンティア」(領域代表者:川上 則雄)、同科学研究費補助金 若手研究「条件付き独立な観測に基づく統計的推測の理論と実践」(研究代表者:徳田 悟)などの助成により得られました。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Unveiling quasiparticle dynamics of topological insulators through Bayesian modelling”
DOI:10.1038/s42005-021-00673-6
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
佐藤 宇史(サトウ タカフミ)
東北大学 材料科学高等研究所 教授

<JST事業に関すること>
嶋林 ゆう子(シマバヤシ ユウコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ

<報道担当>
東北大学 材料科学高等研究所 広報戦略室
九州大学 広報室
京都産業大学 広報部
産業技術総合研究所 広報部 報道室
科学技術振興機構 広報課

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