「スキルミオンひも」を用いた信号伝達に成功

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フレキシブルで超低消費電力な新しい情報伝送路の実現に期待

2020-01-15 東京大学,科学技術振興機構(JST),理化学研究所

物理工学専攻 関真一郎准教授、高木里奈助教、賀川史敬准教授、十倉好紀卓越教授、岡村嘉大助教ら

東京大学大学院工学系研究科の関真一郎准教授(JSTさきがけ研究者兼任)らの研究グループは、スキルミオンひも(磁性体中の電子スピンが作るナノスケールの渦糸構造)を利用した信号伝達を実証することに成功しました。渦巻き状のスピン構造であるスキルミオンは、2次元系では粒子のように振る舞うことが知られており、次世代の情報ビットの候補として近年盛んに研究されています。一方、3次元系のスキルミオンは「ひも」としての性質を持つことがわかっていますが、このスキルミオンひもがどのような応答や機能を示すのか、これまでほとんど明らかにされていませんでした。本研究では、スキルミオンひもの中を振動が伝わる様子を詳細に調べることで、ひもの直径の1000倍以上の非常に長い距離にわたって信号の伝達が可能であること、また順方向と逆方向の伝搬特性が異なるダイオード的な振る舞いが現れることを発見しました。スキルミオンひもの振動は、電線上の電気信号と異なりジュール損失を生じないことから、上記の結果は、スキルミオンひもをフレキシブルで超低消費電力な新しい情報伝送路として活用できる可能性を示しています。

本研究成果は2020年1月14日(火)に英国科学誌「Nature Communications」に掲載されます。

本研究は、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業個人型研究(さきがけ)の「トポロジカル材料科学と革新的機能創出」研究領域(No. JPMJPR18L5)および「新物質科学と元素戦略」研究領域、日本学術振興会(JSPS)科学研究費補助金基盤研究A(No. 18H03685)、同新学術研究領域「ナノスピン変換科学」(No. 17H05186)の助成を受けて行われました。
「スキルミオンひも」を用いた信号伝達に成功

プレスリリース本文:PDFファイル
Nature Communications:
https://www.nature.com/articles/s41467-019-14095-0
理化学研究所:
https://www.riken.jp/press/2020/20200115_3/index.html

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