二次元層状ペロブスカイトにおける励起子スピンの特異な空間ダイナミクスの発見~新たな室温光スピンデバイスの開発に期待~

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2022-08-01 京都大学

金光義彦 化学研究所教授、湯本郷 同助教、関口文哉 同特定助教、若宮淳志 同教授、橋本塁人 同博士後期課程学生、中村智也 同助教の研究グループは、偏光分解ポンプ・プローブ顕微鏡を開発し、二次元層状ハライドペロブスカイト半導体における励起子スピンが室温で特異な時空間ダイナミクスを示すことを発見しました。

ハライドペロブスカイト半導体では、円偏光した光を照射することによってスピン偏極した励起子が生成します。そこで、円偏光ポンプ光によって生成された励起子スピンの空間イメージを各ポンプ・プローブ遅延時間で測定することにより、その時空間ダイナミクスを調べました。ポンプ強度が強い時、ポンプビーム形状を反映した励起直後のガウシアン形の空間パターンが、励起から時間が経つにつれてリング状になり、また同時に高速な励起子スピン輸送が生じていることを見出しました。さらに、このような励起強度に依存した特異な励起子スピンの時空間ダイナミクスが励起子多体相互作用に起因していることを明らかにしました。

この結果は、二次元層状ハライドペロブスカイト半導体を用いることにより、励起子スピンを利用した新たな光スピンデバイスが室温で実現できる可能性を示唆しており、今後、励起子スピンを用いた情報処理デバイスや円偏光発光ダイオードなどの開発に貢献できることが期待されます。

本研究成果は、2022年7月29日に、科学誌「Science Advances」にオンライン掲載されました。


図:励起子スピンの時空間ダイナミクス
二次元層状ハライドペロブスカイトに照射する円偏光ポンプ強度が強い時、励起子スピンの空間パターンが励起から時間が経つにつれてリング状になり、同時に高速な励起子スピン輸送が生じていることを発見。

研究者のコメント

「本研究では、優れた光電・フォトニクス材料として注目されている二次元層状ハライドペロブスカイトが、光スピンデバイス材料としても興味深い材料系であることを、偏光分解ポンプ・プローブ顕微分光を用いることにより明らかにしました。今後も多重量子井戸構造と単原子層材料の特徴を併せ持つ特異な二次元材料系である二次元層状ハライドペロブスカイトに着目し、先端分光手法を駆使しながら、従来の材料では実現できない新たな光機能の開拓に取り組んでいきたいと考えています。」(湯本郷)

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:金光 義彦
研究者名:湯本 郷
研究者名:関口 文哉
研究者名:若宮 淳志
研究者名:中村 智也

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