2019/6/21 オーストラリア連邦・フリンダース大学
(Next-gen solar cells spin in new direction)
・ フリンダース大学が、ペロブスカイト太陽電池で利用できる、フォスフォレン(黒リンの 2D 材料)ナノシートを初めて作製。
・ 同フォスフォレンナノシートは、同大学が開発した革新的な vortex fluidic device(VFD)による高速スピンのせん断応力を利用して作製したもの。VFD は元来バイオ医療研究用途で、卵白の変性したタンパク質を元の状態に戻す技術として 2015 年にイグノーベル賞を受賞している。
・ 優れた導電性と可視光の吸収能力を有するフォスフォレンを、低温度プロセスで作製したペロブスカイト太陽電池に統合した結果、エネルギー変換効率が 14.32%から 16.53%に向上。効率的で安価な太陽電池の実現を促進する。
・ グラフェンやフォスフォレン等の高品質の 2D 材料を大量に製造する研究は、VFD、近赤外レーザー光パルスや産業規模の電子レンジの利用による効率的でサステナブルな材料製造の可能性を導くもの。フォスフォレンは、水分解で水素と酸素を生成する光触媒での活用も期待されている。
・ ペロブスカイト太陽電池の商用化は、セルのスケールアップで実現が見込まれるが、当面はセル性能の向上と最適化に関する研究が進められる。
・ 本研究は、豪州研究会議(Australian Research Council)の Discovery Program、Royal Society of Chemistry による研究グラント、Microscopy Australia、Australian National Fabrication Facility および同大学の Microscopy and Microanalysis Centre が支援した。 URL: https://news.flinders.edu.au/blog/2019/06/21/next-gen-solar-cells-spin-in-new-direction/
(関連情報)
Small Methods 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Efficient Production of Phosphorene Nanosheets via Shear Stress Mediated Exfoliation for Low‐ Temperature Perovskite Solar Cells
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/smtd.201800521
<NEDO海外技術情報より>