ペプチド系抗生物質のアップグレード~天然物の構造に基づく新規人工抗菌ペプチド群の戦略的創出~

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2019-07-05 東京大学薬学系研究科・薬学部

 天然物合成化学教室の伊藤寛晃助教、徳本皓太郎大学院生、加治拓哉博士(現東北大学大学院理学研究科助教)、井上将行教授らの研究グループは、OBOCライブラリー戦略の応用により、強力な抗菌活性を示す人工化合物群の創出に成功しました。
 本研究成果は、2019年7月5日付けで英国科学誌「Nature Communications」(オンライン版)に掲載されました。

発表概要
 薬物耐性菌の蔓延は全世界的に重大な問題と位置付けられており、優れた活性を示す新規抗菌薬の創出が期待されています。生物由来の抗生物質(天然物)の改良は、新規抗菌薬を得る上で強力な方法である一方、わずかな構造改変により活性を著しく損なうことも多く、試行錯誤に長大な期間を要します。
 本研究グループは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)にも有効な環状ペプチド系抗生物質ライソシンEの固相合成法とone-bead-one-compound (OBOC)ライブラリー戦略の応用により、樹脂ビーズ上で2000種類を超える構造類縁体群を一挙に構築・スクリーニングする方法を確立し、天然物よりも強力な抗菌活性を示す新規化合物を複数見出すことに成功しました。本成果は、優れた性質を示す人工化合物を迅速に構築・発見する上で、天然物をもとにしたOBOCライブラリー戦略の有効性を示し、新規医薬品候補化合物創出への応用が期待されます。
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図1 ライソシンE、2401 種類からなるライソシンE 類縁体群、メナキノン-4、メナヒドロキノン-4 の構造式

図2 スクリーニングの概要

図3 ビーズのスクリーニング結果

図4 ライソシンE と同等以上の抗菌活性を示した化合物A1–A11 の構造

論文情報

Hiroaki Itoh†, Kotaro Tokumoto†, Takuya Kaji†, Atmika Paudel, Suresh Panthee, Hiroshi Hamamoto, Kazuhisa Sekimizu, Masayuki Inoue* (伊藤寛晃†、徳本皓太郎†、加治拓哉†、Atmika Paudel、Suresh Panthee、浜本洋、関水和久、井上将行*) (†共同筆頭著者、*責任著者) , “Development of a high-throughput strategy for discovery of potent analogues of antibiotic lysocin E,” Nature Communications: 2019年7月5日, doi:10.1038/s41467-019-10754-4.
論文へのリンク (掲載誌)

関連教員

  • 伊藤 寛晃 / 助教 / 大学院薬学系研究科
  • 井上 将行 / 教授 / 大学院薬学系研究科
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