遂に組立完了 世界最大の核融合超伝導トカマク型実験装置JT-60SA

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今後、初プラズマ着火に向けて始動

2020-04-22 量子科学技術研究開発機構

発表のポイント

  • 日欧共同で茨城県那珂市において建設を進めてきた世界最大の核融合超伝導トカマク型実験装置JT-60SA(以下「JT-60SA」という。)の組立が完了。
  • 今後、初プラズマ着火を含む統合試験運転(コミッショニング)*1へ移行。

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(理事長 平野俊夫。以下「量研」という。)核融合エネルギー部門那珂核融合研究所は、日欧共同の幅広いアプローチ(BA)活動等を通じて、茨城県那珂市において、平成19年よりJT-60SA*2装置の建設を開始し、平成25年より組立に着手して、令和2年3月に装置の組立が完了しました。JT-60が運転を停止した平成20年以来12年ぶりに日本国内のトカマク装置が始動します。

今後、JT-60SA装置の真空排気や超伝導コイル冷却など、順を追って各機器の健全性を確認しつつ動作させて、令和2年秋ごろ最初のプラズマを着火する、統合試験運転を開始する予定です。

核融合エネルギー*3を安定的に発生させるためには、燃料である水素を1億度以上のプラズマ状態にし、磁場の力で制御する必要があります。JT-60SAでは、改修前のJT-60で培った定常運転方式の開発成果を受け継ぎ、より効果的なプラズマ制御技術の開発を行う計画であり、引き続き原型炉に向けた先進的研究開発及び人材育成を進めてまいります。また、JT-60SA装置の本体組立技術やプラズマの制御技術は、現在世界の7極が参加して建設を進めている核融合実験炉ITER*4に応用します。

完成したJT-60SA

完成したJT-60SA

*1…初プラズマ着火を含む統合試験運転(コミッショニング)

装置の動作を確認するための一連の運転。JT-60SA装置本体の真空排気・リーク試験から始まり、超伝導コイルの冷却と通電試験、その後実際にプラズマを発生させ、プラズマの制御性も含めて装置全体の動作を確認します。

*2…JT-60SA (JT-60 Super Advanced)

幅広いアプローチ(BA)活動として日欧共同で実施するサテライト・トカマク計画と我が国で検討を進めてきたトカマク国内重点化装置計画の合同計画として、茨城県那珂市の量研那珂核融合研究所にある核融合超伝導トカマク装置であり、ITERが完成するまでは、世界最大の核融合超伝導トカマク装置となります。また、JT-60SAの機器製作や組立では、日欧の関連する企業約120社(国内約100社、国外約20社)に貢献いただきました。

URL:https://www.qst.go.jp/site/jt60/5150.html(日本語)

JT60SA

*3…核融合エネルギー

核融合は太陽が輝き続けられるエネルギー源であり、地上での核融合の実現を目指して、重水素や三重水素などの軽い原子核がプラズマ状態で融合し、ヘリウムなどのより重い原子核になる核融合反応を利用します。燃料である重水素、三重水素の原料となるリチウム資源は海水中にほぼ無尽蔵にあり、核融合エネルギーはCO2を発生しません。そのため、エネルギー及び環境問題を根本的に解決すると期待されています。

*4…ITER (核融合実験炉:イーター)

制御された核融合プラズマの維持と長時間燃焼によって核融合の科学的及び技術的実現性の確立を目指すトカマク型(超高温プラズマの磁場閉じ込め方式の一つ)の核融合実験炉です。1988年に日本・欧州・米国・ロシアが共同設計を開始し、2007年には日本、欧州、米国、ロシア、中国、韓国、インドが「イーター協定」を締結して、国際機関「イーター国際核融合エネルギー機構(イーター機構)」が発足しました。現在、サイトがあるフランスのサン・ポール・レ・デュランスにおいて、イーターが格納される建屋の建設が進められているとともに、各極において、それぞれが調達を担当する様々なイーター構成機器の製作が進められており、2025年頃からのプラズマ実験の開始を目指しています。イーターでは、重水素と三重水素を燃料とする本格的な核融合による燃焼が行われ、核融合出力500MW、エネルギー増倍率10を目標としています。

イーター計画に関するURL  http://www.fusion.qst.go.jp/ITER/index.html(日本語)

イーター機構のURL http://www.iter.org/(英語)

ITER

2001原子炉システムの設計及び建設2003核燃料サイクルの技術
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