ライス大学のリアクタが温暖化ガスを不純物のない液体燃料に転換

ad

 (Rice reactor turns greenhouse gas into pure liquid fuel)

2019/9/3 アメリカ合衆国・ライス大学

ライス大学のリアクタが温暖化ガスを不純物のない液体燃料に転換

・ ライス大学は、二酸化炭素を原料とする触媒のリアクタを開発。最新の試作モデルでは高純度で高濃度なギ酸を合成。従来の二酸化炭素変換デバイスで生成するギ酸は、高価で高エネルギー集約的な精製工程を要したが、新技術では高純度のギ酸溶液を直接生産でき、温室効果ガスである二酸化炭素の再生可能エネルギー変換に拍車。
・ 新開発の電解触媒を使用すると、エネルギー変換効率は約 42%に達し、電気エネルギーの約半分が液体燃料としてギ酸に蓄えられることが判明。
・ ギ酸はエネルギーキャリアであり、燃料電池用の燃料として発電し、二酸化炭素を分離、回収、再利用することが可能。また、化学工業産業界では、ギ酸は二酸化炭素以外の化学物質の原料として基本的な化学物質で、かつ水素の貯蔵材料でもあり、圧縮が難しい水素ガスの約 1,000 倍分のエネルギーを貯蔵可能。水素燃料電池自動車の課題解決へ応用が期待。
・ 強靭な 2D ビスマス触媒の開発と、反応に塩化物を必要としない固体電解質の開発という二つの要素が、新技術のリアクタの開発を導いた。
・ ビスマスは、銅や鉄、コバルト等の遷移金属と比較すると、とても重い原子で、反応条件下では移動度も低く、触媒を安定化。
・ リアクタは、触媒に水が接触しないように構成されており、触媒の保存が可能。
・ 従来技術では、ミリグラムやグラム単位で触媒を作製しているが、新技術ではキログラム単位で作製可能。産業化にむけた製造工程のスケールアップが容易となった。
・ 高分子固体電解質は、正電荷を導電するためのスルホン酸の配位子や、負イオンを導電するためのアミノ基質グループで覆われている。
・ 二酸化炭素を取り出すためには通常、塩水のような液体電解質を使用する。真水に電気を通すには電解質の抵抗が強すぎるので、イオンが水中で自由に動けるように、塩化ナトリウムや炭酸水素カリウムのような塩を加える必要がある。
・ しかし、同様の手法でギ酸を生成すると、塩が混合してしまい、アプリケーションの大部分は、最終生産物から塩を除去しなければならず、多大なエネルギーとコストがかかる。・ 新技術では、不溶性ポリマーや無機化合物から構成された、プロトンを導電する固体電解質を使用し、塩が不要。
・ 溶液の濃度は、水が生成物のチャンバーを流れる比率で決定する。現存の遅い処理能力の設定では、比重約 30%のギ酸の溶液を生成。より速い流れでは、溶液の濃度をカスタマイズできる。研究チームは、より高濃度な溶液を、純粋なギ酸蒸気を生成する気体流に対応したこの次世代型リアクタで生成することを見込んでいる。
・ ライス研究所では BNL と共同で、進行中の開発経過を観測。X 線吸収分光法は、BNL の国立シンクロトロン光源 II の内部シェル分光法(ISS)ビームラインの強力な技術で、実際の化学プロセス中に、オペランドの電解触媒の電子構造の精査が可能。異なる電位でビスマスの酸化状態を追跡し、二酸化炭素還元中の触媒の活性状態を特定できた。
・ 研究室では、現存のリアクタを使用して、ギ酸を 100 時間連続生成。リアクタの構成要素は、ナノスケールの触媒を含めわずかな劣化ですんだ。
・ 研究チームは、本リアクタは、酢酸、エタノール、プロパノール燃料といった、より価値の高い製品の製造用に、容易に作り替えられると提示。
・ 二酸化炭素の削減は、地球温暖化に加えて、化学合成におけるグリーンケミストリーにもとても重要。太陽や風などの再生可能な資源からエネルギーを得られれば、二酸化炭素をさらに排出することなく、重要な材料に転換するサイクルを作ることができる。
・ 本研究は、米国エネルギー省 Office of Science User Facilities より支援を得た。
URL: https://news.rice.edu/2019/09/03/rice-reactor-turns-greenhouse-gas-into-pure-liquidfuel/

(関連情報)
Nature Eenergy 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Continuous production of pure liquid fuel solutions via electrocatalytic CO2 reduction using solidelectrolyte devices
URL: https://www.nature.com/articles/s41560-019-0451-x

<NEDO海外技術情報より>

Abstract

Electrocatalytic CO2 reduction is often carried out in a solution electrolyte such as KHCO3(aq), which allows for ion conduction between electrodes. Therefore, liquid products that form are in a mixture with the dissolved salts, requiring energy-intensive downstream separation. Here, we report continuous electrocatalytic conversion of CO2 to pure liquid fuel solutions in cells that utilize solid electrolytes, where electrochemically generated cations (such as H+) and anions (such as HCOO) are combined to form pure product solutions without mixing with other ions. Using a HCOOH-selective (Faradaic efficiencies > 90%) and easily scaled Bi catalyst at the cathode, we demonstrate production of pure HCOOH solutions with concentrations up to 12 M. We also show 100 h continuous and stable generation of 0.1 M HCOOH with negligible degradation in selectivity and activity. Production of other electrolyte-free C2+ liquid oxygenate solutions, including acetic acid, ethanol and n-propanol, are also demonstrated using a Cu catalyst. Finally, we show that our CO2 reduction cell with solid electrolytes can be modified to suit other, more complex practical applications.

0505化学装置及び設備1900環境一般
ad
ad
Follow
ad
タイトルとURLをコピーしました