ナノ材料と人工知能を利用した高精度の一酸化炭素センサを開発 ~ヒトの呼気による肺疾患の検査・早期診断への応用が加速~

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2022-05-12 東北大学電気通信研究所 助教 但木大介

【発表のポイント】

  • 酸化チタンナノチューブ(注1)のナノ微細構造を検出媒体とする半導体式ガスセンサを開発しました。
  • 得られた特性に対し、人工知能(AI)の機械学習(注2)を用いた多成分分析により、混合ガス中に含まれる微量な一酸化炭素の濃度を高精度で予測することに成功しました。
  • ヒトの呼気に含まれる微量な一酸化炭素は、肺機能に係わる重要なガス成分の一つであり、今後、肺疾患の検査・早期診断への応用研究が加速すると期待されます。

【概要】

ヒトの呼気に含まれる微量な一酸化炭素は、肺機能の状態のバロメーターとなる重要なガス成分の一つです。しかし、医療現場では、呼気中の一酸化炭素濃度を測る検査には、現状10分程度の時間を要するため、肺疾患の検査・早期診断の実現には課題がありました。

東北大学電気通信研究所の但木大介助教、同電気通信研究所/材料科学高等研究所の平野愛弓教授、同電気通信研究所の庭野道夫名誉教授などからなるプロジェクトチームは、酸化チタンナノチューブのナノ微細構造を検出媒体とする半導体式ガスセンサを開発しました。得られたガス検知特性に対し、機械学習を用いた多成分分析を行うことにより、混合ガス中に含まれる微量な一酸化炭素の濃度を高精度で予測することに成功しました。本方法の適用により、検査時間を従来の1/10以下にまで短縮できると見込まれ、今後、肺疾患の検査・早期診断への応用研究が加速すると期待されます。

本成果は、2022年6月15日に、「センサーズ・アンド・アクチュエーターズB(Sensors and Actuators B)」に掲載されます。なお、本研究は、JST A-STEPの助成を受けて行われたものです。

図. (上)酸化チタンナノチューブ型ガスセンサの模式図、(下)同センサの写真 写真中の基板には計6個のセンサが搭載されており、緑色領域内の中央付近を縦に通る細長い領域(幅0.025 mm)に酸化チタンナノチューブ(ガス検知部)が形成されている。

【用語解説】

(注1)酸化チタンナノチューブ:

酸化チタンを材質とする太さ数10ナノメートル(1ナノメートルは1 mmの100万分の1)の筒(チューブ)状の微細構造であり、膜上面からはハチの巣状に見える。陽極酸化と呼ばれる電気化学的手法で作製される。筒内部の側壁の存在により、ガスセンサとしてのガス検知に係わる表面積を大幅に増やすことができる。

(注2)機械学習:

データ分析法の一つであり、データから反復的に学習し、そこに潜むパターンを見つけ出す手法である。そして学習した結果を新たなデータに当てはめることで、パターンに従って数値予測することができる。

詳しい資料は≫

問い合わせ先

○研究に関すること

東北大学 電気通信研究所

助教 但木 大介 (ただき だいすけ)

○報道に関すること

東北大学 電気通信研究所

総務係

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