テラヘルツ・ギャップを埋める:新センサー開発を促進する微小レーザー

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 (Closing the terahertz gap: Tiny laser is an important step toward new sensors)

2019/7/24 アメリカ合衆国 プリンストン大学

テラヘルツ・ギャップを埋める:新センサー開発を促進する微小レーザー

・ プリンストン大学が、テラヘルツ波を使用するポータブルなイメージングシステムを開発。
・ 布地やプラスチック等の材料を透過するテラヘルツ波によるイメージングは長らく研究されているが、同周波数範囲を利用する実用的なシステムの開発は困難であり、アプリケーションでの利用に至っていない。このような状況は「テラヘルツ・ギャップ」と呼ばれている。
・ 可動部を持たない新イメージングシステムは、チップスケールの周波数コム。半導体チップから直接放射するテラヘルツ波の利用により、分子の特定やそれらの配列、材料の構造的損傷を迅速に精査できる。同システムのデュアルコム構造が、反射した光の特定のパターンや分光的特徴の効率的な測定を可能にし、サンプルの分子構造を特定する。
・ 現行のテラヘルツイメージング技術は高コストと作動の煩雑性が課題であるが、新システムではより低コストの半導体設計で秒毎に多数の画像を生成できる。そのため、製造ライン等の医療用錠剤のリアルタイムの品質管理での利用も可能。
・ 一般的な不活性成分(グルコース,ラクトース及びヒスチジン)の 3 領域を含む医療用錠剤で同システムの概念実証を実施。同システムは、錠剤中の各成分を特定し、そららの成分の境界と、他の領域に流れた薬品のスポット(斑点)数個を明示。このような「ホットスポット」は、有効成分が錠剤に適切に混合しない場合に起こり、薬品製造において解決すべき課題となっている。
・ また、米 25 セント硬貨の画像で同システムの分解能を実証。0.2mm のワシの翼の細部を明瞭に可視化した。
・ 同システムは、産業・医療用途のテラヘルツイメージングを従来以上に可能にするが、実際のアプリケーションでは従来どおり低温度冷却が必要。室温下で作動可能なレーザーの研究は多く実施されており、同システムのデュアルコムによるハイパースペクトルイメージング技術では、そのような室温のレーザー源で適切に機能するため、多様な利用方法の可能性が生まれると考える。
・ 非電離放射線であるテラヘルツ波は、例えば皮膚がんの診断等、医療分野で安全に利用できる。また、金属を画像化できるため、飛行中に障害物に当たった航空機の比翼の検査等での利用も可能。さらに、他の周波数では画像化できない材料の調査にも使用できる。
・ 本研究は、米国防高等研究計画局(DARPA)と米エネルギー省(DOE)が一部支援した。
URL: https://www.princeton.edu/news/2019/07/24/innovative-tiny-laser-has-potential-usesdrug-quality-control-medical-diagnosis

(関連情報)
Optica 掲載論文(フルテキスト)
Terahertz hyperspectral imaging with dual chip-scale combs
URL: https://www.osapublishing.org/optica/abstract.cfm?uri=optica-6-6-766

<NEDO海外技術情報より>

Abstract

Hyperspectral imaging is a spectroscopic imaging technique that allows for the creation of images with pixels containing information from multiple spectral bands. At terahertz wavelengths, it has emerged as a prominent tool for a number of applications, ranging from nonionizing cancer diagnosis and pharmaceutical characterization to nondestructive artifact testing. Contemporary terahertz imaging systems typically rely on nonlinear optical downconversion of a fiber-based near-infrared femtosecond laser, requiring complex optical systems. Here, we demonstrate hyperspectral imaging with chip-scale frequency combs based on terahertz quantum cascade lasers. The dual combs are free-running and emit coherent terahertz radiation that covers a bandwidth of 220 GHz at 3.4 THz with 10μW∼10  μW per line. The combination of the fast acquisition rate of dual-comb spectroscopy with the monolithic design, scalability, and chip-scale size of the combs is highly appealing for future imaging applications in biomedicine and the pharmaceutical industry.

© 2019 Optical Society of America under the terms of the OSA Open Access Publishing Agreement

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