2019-03-29 水産庁
水産庁は、平成30年における国内のクロマグロ養殖業者の養殖実績を取りまとめました。
1.背景・趣旨
水産庁は、我が国が太平洋クロマグロの最大の漁業国かつ消費国であることを踏まえ、太平洋クロマグロの管理について取り組むべき基本的な方向性を取りまとめた「太平洋クロマグロの管理強化についての対応」(平成22年5月11日公表)に基づき、国内におけるクロマグロ養殖の実態を正確に把握するため、全国のクロマグロ養殖業者から報告のあった養殖実績について、暦年ごとに取りまとめ、平成23年から毎年この時期に公表しています。
2.結果
平成30年のクロマグロ養殖を営む経営体の数は95で、平成29年に比べて増減はありませんでした。養殖場の数は189で、平成29年の177に比べて12養殖場、平成23年の137に比べて52養殖場増加しました。ただし、この養殖場の増加は、人工種苗(注1)を用いる養殖場の増加と養殖場の分割などによるものであり、天然種苗の活込尾数を増加させるものではありませんでした。
平成30年のクロマグロ養殖種苗の活込尾数は78万9千尾で、平成29年の86万8千尾に比べて7万9千尾下回りました。このうち天然種苗は41万0千尾で、平成29年と比べ3万7千尾増加しましたが、平成23年の活込尾数53万9千尾を上回るものではありませんでした。
なお、平成24年10月26日付けの農林水産大臣の指示(注2)を受けて、76の養殖場の免許は、人工種苗のみを活け込むよう制限されています。また、残りの113の養殖場の免許は、天然種苗を活け込む生け簀の台数等について上限が付されています(平成30年12月1日現在)。
(注1)人工種苗とは、受精卵を陸上の水槽等でふ化させ種苗として育成したものです。一方、天然種苗は曳き縄・まき網などが採捕した天然のクロマグロを種苗として利用するものです。海面養殖場に初めて活け込まれる人工種苗は体長が5cm程度で、天然種苗の体長が30cm程度以上であるのに対して小さく、天然種苗と同程度のサイズになるまでに死亡するものも多く含まれています。
(注2)クロマグロ養殖場については、漁業法の規定に基づく農林水産大臣の指示により、原則として、(1)各県の1年当たりの天然種苗の活込尾数が平成23年から増加するような養殖漁場の新たな設定を行わないこと、(2)生け簀の規模拡大により各県の1年当たりの天然種苗の活込尾数が平成23年から増加することのないよう漁業権に生け簀の台数等に係る制限又は条件を付けることを都道府県に通知しています。
(1)クロマグロ養殖を行っている経営体の数(各年の12月1日における数)
(ア)経営体の数(住所・所在地別)
全国計: 95経営体(平成30年)
95経営体(平成29年)
95経営体(平成28年)
94経営体(平成27年)
95経営体(平成26年)
92経営体(平成25年)
83経営体(平成24年)
83経営体(平成23年)
(イ)県別経営体の数(のべ数)
全国計: 105経営体(平成30年)
105経営体(平成29年)
105経営体(平成28年)
103経営体(平成27年)
105経営体(平成26年)
102経営体(平成25年)
93経営体(平成24年)
94経営体(平成23年)
(2)クロマグロ養殖場及び養殖生け簀の数
(ア)養殖場の数(各年の12月1日における数)
全国計: 189養殖場(平成30年)
177養殖場(平成29年)
175養殖場(平成28年)
160養殖場(平成27年)
150養殖場(平成26年)
147養殖場(平成25年)
140養殖場(平成24年)
137養殖場(平成23年)
(イ)養殖生け簀の数(暦年集計)
全国計: 1,549台(平成30年)
1,618台(平成29年)
1,657台(平成28年)
1,436台(平成27年)
1,375台(平成26年)
1,362台(平成25年)
1,191台(平成24年)
1,032台(平成23年)
(3)クロマグロ種苗活込尾数(暦年集計)
(注)活け込んだ種苗は、数年の養殖期間を経た後に出荷されます。
全国計: 789千尾(平成30年)
868千尾(平成29年)
995千尾(平成28年)
943千尾(平成27年)
515千尾(平成26年)
611千尾(平成25年)
473千尾(平成24年)
753千尾(平成23年)
(ア)うち天然種苗
全国計: 410千尾(平成30年)
373千尾(平成29年)
526千尾(平成28年)
394千尾(平成27年)
222千尾(平成26年)
347千尾(平成25年)
205千尾(平成24年)
539千尾(平成23年)
(イ)うち人工種苗
全国計: 379千尾(平成30年)
495千尾(平成29年)
469千尾(平成28年)
549千尾(平成27年)
293千尾(平成26年)
264千尾(平成25年)
268千尾(平成24年)
214千尾(平成23年)
(4)養殖クロマグロ出荷数量(暦年集計)
(ア)出荷尾数
全国計: 273千尾(平成30年)(天然種苗由来 252千尾、人工種苗由来 21千尾)
247千尾(平成29年)(天然種苗由来 224千尾、人工種苗由来 22千尾)
209千尾(平成28年)(天然種苗由来 193千尾、人工種苗由来 16千尾)
226千尾(平成27年)(天然種苗由来 205千尾、人工種苗由来 21千尾)
230千尾(平成26年)(天然種苗由来 219千尾、人工種苗由来 11千尾)
197千尾(平成25年)(天然種苗由来 191千尾、人工種苗由来 7千尾)
177千尾(平成24年)(天然種苗由来 169千尾、人工種苗由来 7千尾)
190千尾(平成23年)
(イ)出荷重量
全国計: 17,641t(平成30年)(天然種苗由来 16,494t、人工種苗由来 1,147t)
15,858t(平成29年)(天然種苗由来 14,740t、人工種苗由来 1,118t)
13,413t(平成28年)(天然種苗由来 12,563t、人工種苗由来 849t)
14,825t(平成27年)(天然種苗由来 13,881t、人工種苗由来 943t)
14,713t(平成26年)(天然種苗由来 14,326t、人工種苗由来 387t)
10,396t(平成25年)(天然種苗由来 10,120t、人工種苗由来 276t)
9,639t(平成24年)(天然種苗由来 9,395t、人工種苗由来 244t)
10,224t(平成23年)
(5)クロマグロ種苗採捕に関わった漁船の数(暦年集計)
全国計: 1.1千隻(平成30年)
1.2千隻(平成29年)
1.7千隻(平成28年)
1.6千隻(平成27年)
1.5千隻(平成26年)
1.5千隻(平成25年)
1.9千隻(平成24年)
2.3千隻(平成23年)
3.平成29年実績の確定
平成30年3月30日付けで公表した「平成29年における国内のクロマグロ養殖実績について(速報値)」は、内容精査を行い数値を確定しました。
(参考)
平成22年5月11日付けプレスリリース
「太平洋クロマグロの管理強化についての対応」について
http://www.jfa.maff.go.jp/j/kokusai/kanri_kyouka/index.html
平成24年10月26日付けプレスリリース
国内クロマグロ養殖の管理強化について
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/enoki/121026.html
平成30年3月30日付けプレスリリース
平成29年における国内のクロマグロ養殖実績について(速報値)
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/saibai/180330.html
お問合せ先
増殖推進部栽培養殖課
担当者:太田、悦喜 (えき)
資源管理部漁業調整課沿岸・遊漁室