深層学習を用いて欠損のある海水温画像を修復する技術を開発

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深層学習技術の衛星

2018/08/28 京都大学

飯山将晃 学術情報メディアセンター准教授、笠原秀一 同特定講師、柴田哲希 情報学研究科修士課程学生(現・NTTコミュニケーションズ株式会社)らの研究グループは、人工衛星が観測した欠損のある海水温画像を、深層学習を用いて修復する技術を開発しました。本技術は海水温を簡便かつリアルタイムにモニタリングできることから、海洋天気予報・水産・海運での応用が期待できます。

本研究成果の一部は、2018年8月20日から24日に、北京で開催されたパターン認識の国際会議「ICPR 2018」で発表されました。

研究者からのコメント

 

自然現象の予測に対して人工知能技術がある程度使えることがわかりました。今回開発した技術は海洋天気予報・水産・海運への応用が期待できます。今後は、さまざまなデータを使いながら精度を上げていきたいと考えています。

概要

これまで、人工衛星が観測した海水温画像データは、雲に覆われている部分は観測できないことに加え、その欠損部分を補う従来の方法ではスーパーコンピュータを使用するために計算コストが高く、リアルタイム性に欠けることが問題でした。そこで本研究グループは、写真修復に用いる「画像インペインティング」技術を応用して、人工衛星が観測した欠損のある海水温画像を、深層学習を用いて修復する技術を開発しました。

本研究では、気象衛星「ひまわり8号」が撮影した過去1年半分の画像データ数千枚を人工知能に学習させ、海水温に特徴的な温度分布のパターンを修復に利用しました。その結果、2日前から現在までの海水温画像データがあれば、雲に隠された部分を再現することに成功しました。この技術では、画像の修復を市販のパソコンでも1時間程度で行うことができるため、海水温の変化をほぼリアルタイムで把握することが可能になります。海水温データは、海洋天気予報の基礎データとして利用されているほか、水産業における漁場決定などにも幅広く利用されており、この技術による波及効果が期待されます。

図:(左)入力画像、(右)修復結果

詳しい研究内容について

1603情報システム・データ工学
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