2022-07-13 アメリカ合衆国・バージニア工科大学(VirginiaTech)
・ Virginia Tech、アイオワ州立大学およびネブラスカ-リンカーン大学が、水中で物体をしっかりと把持できるようにする、タコの吸盤に着想した吸着グローブ、「Octa-glove」を開発。
・ 水中環境下において、人間はタンクを使用して呼吸し、ネオプレン製スーツの着用で身体を保護・保温し、ゴーグルの着用でクリアな視界を獲得するが、身をくねらせる魚等のような物体を素手で掴むことは難しい。
・ 地球上で最もユニークな生物の 1 つであるタコは、筋肉と神経系で制御される吸盤に覆われた 8 本の長い腕を備える。水中で物体を扱う吸着力のチューナビリティー、センシング・制御能力を統合し、プランジャーの先端のような形状の個々の吸盤で強力な吸着能力を発揮する。
・ 吸盤の外側の広い縁が物体に密着し、縁の裏側の筋肉の収縮と弛緩による加圧と圧力のリリースにより、水中であらゆる物体をしっかりと把持する。化学的・機械的なセンサーから得た情報を処理して 2,000 個を超える吸盤を制御し、多くの吸盤が関与する場合では最強の吸着力を創出する。
・ 「Octa-glove」は、軽い圧力で物体の平面・曲面に確実に密着するタコの吸盤と同じような機能を提供する、アクチュエーションメンブレンで覆われたゴム製の柔軟な突起を持つ。
・ 物体を検出して吸着機能を引き起こす仕組みには、マイクロ LIDAR 光学近接センサーアレイを利用。吸盤と LIDAR をマイクロコントローラーで接続して物体の検出と吸盤の働きを連動させ、多様な形状やサイズを物体をエフォートレスにピックアップするタコの神経・筋肉系を模倣した。
・ グローブの着装試験では、デリケートで軽量な物体にはセンサー1 個を使用して金属の玩具や超柔軟なヒドロゲルの球体を容易に把持できた。センサーネットワークの再構築で全センサーを使用すると、ボール等の大きな物体を把持し、硬柔両方からなる材料製の平坦・球状物体等では、手を閉じて物体を把持せずに持ち上げることができた。
・ 水中グリップ用のソフトロボティクス分野、ユーザー支援技術やヘルスケア、濡れた物体の組立てや取り扱い等の製造技術でのアプリケーションを想定。
・ 本研究は、Designing Materials to Revolutionize and Engineer our Future プログラムを通じて米国立科学財団(NSF)が支援した。
URL: https://vtx.vt.edu/articles/2022/07/eng-bartlett-octaglove.html
<NEDO海外技術情報より>
関連情報
Science Advances 掲載論文(フルテキスト)
Octopus-inspired adhesive skins for intelligent and rapidly switchable underwater adhesion
URL: https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abq1905