2022年8月の地震活動の評価

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2022-0-09 地震調査研究推進本部地震調査委員会

1.主な地震活動
○ 8月 11 日 00 時 53 分に上川地方北部(*)でマグニチュード(M)5.4 の地震が発生し、北海道で最大震度5強を観測した。また、この地震の震源付近では、同日 00 時 35 分に M5.2 の地震が発生し、北海道で最大震度5弱を観測した。

2.各領域別の地震活動
(1)北海道地方
○ 8月4日に宗谷地方北部の深さ約5km で M4.1 の地震が発生した。この地震は地殻内で発生した地震である。この地震の震源付近では、8月4日から 31 日までに震度1以上を観測する地震が6回発生した。 なお、この地震の震源付近では、6月 20 日にも M4.4 の地震が発生していた。
○ 8月7日に北海道東方沖で M6.0 の地震が発生した。
○ 8月 11 日 00 時 53 分に上川地方北部(*)の深さ約5km で M5.4 の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、地殻内で発生した地震である。また、この地震の震源付近では、同日 00 時 35 分に M5.2 の地震が発生していた。これらの地震の震源付近では、8月 11 日から9月8日 08 時までに震度1以上を観測する地震が 28 回発生した。
GNSS観測の結果によると、今回の地震に伴って、北海道幌延(ほろのべ)町の幌延観測点で北向きにごくわずかな地殻変動が観測された。
今回の地震活動域付近では、2012 年7月 15 日から 18 日にかけて、M4.1 から M4.3 の地震が4回発生した。なお、2022 年8月4日の宗谷地方北部の M4.1 の地震は、今回の地震活動域から北西に約 30 ㎞離れた場所で発生していた。

(2)東北地方
○ 8月4日に福島県沖の深さ約 55km で M5.6 の地震が発生した。この地震の発震機構は北東-南西方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。また、8月 18 日に深さ約 55km で M5.2 の地震が発生した。この地震の発震機構は北北東-南南西方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。これらの地震は太平洋プレート内部で発生した地震である。
これらの地震の震源付近では、3月 16 日に太平洋プレート内部で M7.4 の地震が発生していた。3月 16 日から9月8日 08 時までに震度1以上を観測する地震が 176 回、このうち8月1日から9月8日 08 時までに8回発生するなど、地震活動は継続している。8月4日の M5.6 の地震は、3月 16 日の M7.4 の地震発生以降では、最大の地震であった。

(3)関東・中部地方
○ 2018 年頃から地震回数が増加傾向にあった石川県能登地方の地殻内では、 2020 年 12 月から地震活動が活発になっており、2021 年7月頃からさらに活発令 和 4 年 9 月 9 日地 震 調 査 研 究 推 進 本 部地 震 調 査 委 員 会 2 になっている。最大の地震は、2022 年6月 19 日に発生した M5.4 の地震である。この他、2021 年9月 16 日に M5.1 の地震、2022 年6月 20 日に M5.0 の地震が発生した。2020 年 12 月1日から 2022 年9月8日 08 時までに震度1以上を観測する地震が 201 回、このうち震度3以上を観測する地震が 31 回発生した。 2022 年8月以降も、8月 14 日に M4.1 の地震が発生するなど、9月8日 08 時までに震度1以上を観測する地震が 10 回発生した。一連の地震活動は、現在のところ減衰する傾向は見えず、依然として活発な状態が継続している。
GNSS観測の結果によると、2020 年 12 月頃から、石川県珠洲(すず)市の珠洲観測点で南東に累積で1cm を超える移動及び4cm 程度の隆起、能登町の能都(のと)観測点で南南西に累積で1cm を超える移動が見られるなど、地殻変動が継続している。
これまでの地震活動及び地殻変動の状況を踏まえると、一連の地震活動は当分続くと考えられるので強い揺れに注意が必要である。
○ 8月6日に茨城県沖の深さ約 30km で M5.0 の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西-東南東方向に張力軸を持つ正断層型で、陸のプレート内で発生した地震である。
○ 8月 18 日 13 時 07 分に千葉県東方沖の深さ約 20km で M5.0 の地震が発生した。また、この地震の発生直前の 13 時 06 分にほぼ同じ場所で M4.9 の地震が発生した。13 時 06 分の M4.9 の地震の発震機構は北北東-南南西方向に圧力軸を持つ型であった。

(4)近畿・中国・四国地方
目立った活動はなかった。

(5)九州・沖縄地方
○ 8月 26 日に天草灘の深さ約 10km で M4.5 の地震が発生した。この地震の発震機構は南北方向に張力軸を持つ正断層型で、陸のプレートの地殻内で発生した地震である。

(6)南海トラフ周辺
○ 南海トラフ沿いの大規模地震の発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない。

*:気象庁が情報発表で用いた震央地域名は「宗谷地方北部」である。注:GNSSとは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般をしめす呼称である。

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1702地球物理及び地球化学
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