気球による銀河中心からの初の放射線(軟ガンマ線)の直接検出に成功~軟ガンマ線天文学の夜明け~

ad
ad

2022-06-15 京都大学

物質を構成する元素が宇宙のどこでどのように作られたのか、ということは未だ大きな謎です。安定な元素と一緒に放射性同位元素(radioisotope, RI)が作られ、このRIから軟ガンマ線(天文学用語。一般に放射線のガンマ線と同じ意味で用いる)が放射されます。この軟ガンマ線は、宇宙や銀河の年齢よりはるかに短いRIから放射されるため、宇宙でまさしく今元素が作られている現場が唯一直接観測可能な帯域とされ、50年以上前から注目されています。しかし、宇宙線由来の雑音の中から軟ガンマ線のみを取り出すための、光学原理に基づいた確立した画像化手法が、電磁波の種類の中では唯一存在しないことから、他の波長域と比べて観測が大幅に遅れ、天文学では唯一の未開拓領域と言われていました。

髙田淳史 理学研究科助教、谷森達 同教授 (現:名誉教授)らの研究グループは、天体観測から重元素の生成や宇宙線加速の起源を解明することを目的に、軟ガンマ線完全画像化方法に基づいた電子飛跡検出型コンプトン望遠鏡(Electron-Tracking Compton Camera, ETCC)を開発しました。このETCCを用いて軟ガンマ線天体観測を実証すべく、2018年にJAXAの気球に搭載してオーストラリアから打ち上げ、南半球の空を約1日間観測しました。過去、欧米の巨大衛星では約10年を費やし銀河中心方向からの軟ガンマ線放射を間接的に検出しましたが、本研究はわずか1日で直接検出に成功しています。今後、ETCCによるさらなる観測で銀河中心方向の軟ガンマ線放射の起源を解明することにより、宇宙初期の密度揺らぎから生成された原始ブラックホールや暗黒物質の存在に迫ります。また、ETCCによる軟ガンマ線可視化技術は宇宙天気予報や月・火星の資源探査や医療応用・環境モニタリングなど、多岐に渡る貢献が期待されています。

タイトルとURLをコピーしました