国際連合食糧農業機関(FAO) (2019)「農業・農村におけるデジタル・テクノロジー」概要

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2020-01-13   国際農研

2050年までに、穀物生産は毎年30億トン増加する必要があり、途上国地域における食肉需要は2030年までに80%、2050年までに200%増加することが予測されている。今日、世界のフード・システムは十分な食料を供給できてはいるが、8. 21憶人の人々は未だに飢餓状態にある。増え続ける食料需要に対し、2050年までに90億人を超える人々を養いつつ、持続的かつ包括的な食料供給を可能にするためには、アグリフード・システムの在り方を早急に変えていかなければならない。

第四次産業革命(Industry 4.0)は、社会のあらゆる分野におけるデジタル技術を通じた破壊的な革新をもたらしているが、農業もその潮流から逃れられない。スマートフォンやリモートセンシングサービスの普及によって、小規模農民もデジタル・アグリフードシステムに包摂されるようになってきている。次の農業革命は、疑いなく、デジタル技術を活用としたものになるであろう。

モバイル接続の新しい波は、農村コミュニティからくると予測される。途上国の最も貧しい2割の人々の間でさえ、7割が携帯電話にアクセスがあるという報告もある。世界人口の4割以上がインターネットにアクセスがあり、とりわけ途上国農村地域に取り残されたグループにもアクセスを拡大しようというイニシアチブが始動している。

Industry 4.0を見越し、今後10年間は、変容する消費者選好と需要、e-コマースの進展、気候変動、といった要因とともに、高度なデジタル技術と革新(ブロックチェーン、IoT、AI, Immerse Reality, etc)がアグリフードシステムを大きく変容させていくことになるであろう。2030年までにSDG2(飢餓をゼロに) を達成するために、より生産的・効率的・持続的・包括的で、透明性と強靭性を持つフードシステムを構築する上で、デジタル・アグリカルチャー・トランスフォーメーションが不可欠である。

デジタル農業の利点は疑うべきもないが、デジタリゼーションを真に社会変革的な過程に変える上でいくつもの課題がある。例えば、データ収集の様式等が統一されておらず、データに関するデジタル解決法が標準化されていない。また、データへのアクセスや利用に関して、所有権にまつわる問題は解決していない。

より詳しい内容に関しては、以下のサイトを通じ報告書原文を参照のこと

http://www.fao.org/3/ca4985en/ca4985en.pdf

Trendov, N. M., Varas, S. & Zeng, M. 2019. Digital technologies in agriculture and rural areas – Status report. Rome. Licence: cc by-nc-sa 3.0 igo

なお、概要に関する本翻訳は、FAOから公式に承認を受けたものではなく、翻訳上の誤りなどの責任は文責にある。

(文責:研究戦略室  飯山みゆき)

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